先にまとめ
- 音楽理論は、人類の叡智であり強力なツール
- 楽譜は読めたほうがいい
- 教本を読むだけでは上達しない
- 勉強30%、実践70%が最速で上達できる
- ジブリやディズニーの曲がオススメ
こんにちは、Keigo (@type00k) です。
別に音楽理論を知らなくても音楽は十分楽しめるけれど、本格的に楽器演奏や作曲がしたいとなると、やはり音楽理論を知りたくなってくる。
そもそも、「この曲はなんて素晴らしいんだ!」という人間の感情が生まれるロジックを、過去の人類たちが時代を超えて愛してきた音楽の集大成みたいなものが音楽理論なので、使わない手はない。
ところで、僕は5歳からピアノ教室に通い始めたけれど、音楽理論について習ったのは基本的な楽譜の読み方くらいだ。ピアノ教室は小学校で辞めてしまったからコードや和声法などの音楽理論は中学生以降にYouTubeや本を参考に独学してきた。
いろいろ遠回りもした気がするから今なら近道も示せるはず。
ということで今回は、音楽経験ゼロから独学で音楽理論を勉強する方法を僕の独断と偏見で紹介したい。
YouTube@Keigo
音楽理論は、人類の英知




あえて音楽理論を一言でいえば、音楽の仕組み・パターン・ルール・手法などをまとめたものと言える。
メチャクチャ雑に言えば、
メロディやリズムをこう配置すると、
人類は気持ち良く聴こえるんじゃね?
みたいな、人類の経験則(時代を超えて多用された、人々に愛されたという意味)による知恵の結晶、英知と言っても過言ではない。
ある時代の、あるコミュニティの人々が「ド・ミ・ソって鳴らすと、なんか良い感じに聴こえるわ」と思ったのだろう。そんな人類の感覚の積み上げが今でも引き継がれている。クラシックもあればジャズもロックもヒップホップもある。当然、歴史に埋もれたものも多くあるはず。
と同時に、音楽理論は「科学」のような絶対的な法則でもないから「その時代に生きる人類が気持ち良く聴こえれば、OKです」みたいな、わりと雑なものでもある。「音楽理論的にはありえないんだけど〜!」みたいな曲は星の数ほどある。理論は手段であって目的ではない。
あくまで音に関する情報を整理したものにすぎないという点において、料理のレシピに似ている。たとえばカレーは複数のスパイスからできている。僕はスパイスの知識が皆無だから、もちろん自分でゼロから研究するよりすでに過去に誰かが作ったレシピを利用したほうが圧倒的に早いし美味しいのは言うまでもない。自分だけのオリジナルカレーはその後に研究しても遅くはない。実際の音楽理論の使い方もそんな感じ。
閑話休題。
現在では一般的に「音楽理論 = ヨーロッパで広まった音楽の理論」を指すことが多い。この記事を読んでいる人も「西洋音楽」を知りたい人が大半だと思う。楽譜とかコードとか。
厳密には日本も含めて世界には様々な民族音楽があるからそれらも音楽理論の一分野になる。たとえば「雅楽」は日本の宮廷音楽だから「民族音楽」という音楽理論の一つのジャンルになる。
参考サイト:雅楽のオーケストレーション




世界中の音楽と伝統芸能の音声記録を検索することができる「Global Jukebox」が面白い。慶應義塾大学が発表したものだ。
1,026民族の伝統的な楽曲を含むデータセットがあり、それぞれの曲を歌手の数、声色、リズムやメロディーなどの特徴によってカテゴリー化している。現在(2022年11月)は、5,776 曲が約37種類の特徴に分けられている。
無料で聞けるので、気になる人はチェックしてみるといいかもしれない。
公式サイト:The Global Jukebox
ということで、一言で音楽理論と言っても実態は極めて膨大で、すべてを習得することは(そんな人がいるかは不明だけれど)不可能に近い。先に寿命が来てしまう。
義務教育で、コード進行まで習う
音楽理論の有名な分野は以下のとおり。ざっくりなのでMECE警察お断り。
- 音律 → 楽器のチューニングの設定・成り立ち
- 楽典 → 楽譜の読み書き
- 音階 → 音を順次に並べたもの。スケール
- 和音 → 2つ以上の音を同時に鳴らした音。コード
- 和声法 → 各声部が和音を形成しながら進行する法則
- 対位法 → 2つ以上の旋律の調和を保ちながら同時進行させる技法
- 管弦楽法 → 最も合理的かつ効果的にオーケストラで表現する方法
- 民族音楽理論 → 日本を含める世界の諸民族の音楽について
西洋音楽で言えば、歴史的には人間の声や楽器などにより、ある音の基準が作られて、メロディを記録として残すために楽譜(楽典)のルールができ、何度も修正を加えた結果、和声法や対位法などの難しい概念(一般的には楽器の数が多いオーケストラが最も複雑)にまで発展していったのだと思う。
この記事の読者の多くは「コードとか知りたいんだけど」と思ったのかもしれない。けれど、コード理論は音楽理論の一分野でしかないのだ。
とはいえ全部を覚える必要はなくて(というか無理)、基本的な楽譜の読み方とコード理論を知っていれ演奏や作曲・編曲にも十分活かせるので、初心者はまずそこを優先的に勉強するといい。
実は日本人は中学校で音楽理論を習っている説。
音楽理論は、言語
ついでに、音楽理論を勉強するメリットも紹介しておこう。
- 音楽仲間とスムーズに会話ができる
- 美しい響きの仕組みを理解できる
- 楽曲分析ができる
- 作曲・編曲の役に立つ
- 説得力のある音の響きを作れる(素人っぽさが出ない)
音楽理論は、日本語や英語と同じように言語の一つと考えると分かりやすいと思う。
単語や熟語を知らないと文章や言葉の意味が理解できないのと同じように、音楽にも独特の用語や記号が使われるので、その意味が理解できないと素人には暗号にしか見えない。
逆に、音楽用語や記号の意味を瞬時に理解できるレベルになると、音楽的な表現の幅が加速度的に広がっていく。仲間ともコミュニケーションが取りやすくなる。
つまり感覚で音楽をやるより(否定はしないけれど)、音楽理論を知っていたほうがコスパが良いのだ。
オススメの勉強分野
上記にもあるとおり「音楽理論」といっても膨大。だからここでは最低限の勉強で、すぐに役に立つ分野を紹介したい。
具体的には以下の5つ。音楽を続ける限り死ぬまで使えるのでオススメ。
- 楽典(楽譜の読み書き)
- 調と音階(キーとスケール)
- 和音(コード)
- 終止と機能
- コード進行
ざっくり説明すると、
キー(調)は、どの音を基準にするか、ということ。「ハ長調」とか「C minor」とか。カラオケで「キーを上げる・下げる」と言ったりもする。これを勉強すると黒鍵(#や♭)の意味が分かる。
スケール(音階)は、基準となる音から順番に音を並べたもの。「ドレミファソラシド」とか。とりあえず最初は「メジャースケール」と「マイナースケール」を覚えることになる。
コード(和音)は、複数の音を同時に鳴らすこと。「Cmaj7」とか「F#m7b5」という表し方をする。便利だからポピュラー音楽ではほぼ100%使われる。
ケーデンス(終止)とファンクション(機能)は、曲に起承転結つけるためのコードの並べ方について学べる。学校の「起立」「礼」「着席」のあの音の順番には意味があることが分かる。
という感じで、音楽理論は音の組み合わせをパズルのように捉えていく。
最終的には暗記ゲーなので、結局のところ経験が物を言う世界ではある。
オススメの参考書5つ
【入門者向け】楽譜アレルギーの人はこれ




難易度 | ★☆☆☆☆ |
オススメ度 | ★★★★☆ |
Keigoの一言 | 最初の一歩は漫画でOK |
楽譜アレルギーの人にオススメ。
もし音楽知識がゼロならマジな話、一番オススメの本はドラえもんの学習シリーズだったりする。漫画の分かりやすさをナメてはいけない。
最初はとにかくハードルを下げるのが大事。
ちなみにピアノ版もある。








【入門者向け】音楽知識ゼロの人はこれ




難易度 | ★☆☆☆☆ |
オススメ度 | ★★★★★ |
Keigoの一言 | 一家に一冊置いておく辞書 |
マジでゼロからスタートする人向け。楽譜の読み方を解説してるフルカラーの本。難しい言葉がないから取っつきやすさがある。
楽譜の読み方を勉強してるとしょっちゅう記号の意味とか読み方を忘れたりするから知識が定着するまでずっと使えると思う。
ほぼ辞書的な役割。とりあえず持っておくといい。
できる ゼロからはじめる楽譜&リズムの読み方 超入門の<目次>
- 第1章 音の【長さ】を読んでみよう
- 第2章 もっと拍子を読んでみよう
- 第3章 リズムを読んでみよう
- 第4章 音の【高さ】を読んでみよう
- 第5章 楽譜の記号を読んでみよう
- 第6章 楽器別の楽譜を読んでみよう
【初心者向け】音楽理論をざっくり学びたい人はこれ
難易度 | ★★☆☆☆ |
オススメ度 | ★★★★☆ |
Keigoの一言 | 中学生くらいでも読める本 |
音楽理論をざっくり学びたい人向け。一応、楽譜の読み方を完全に忘れた人でも対応できる本。
「音楽理論ってこういう感じなんだ~」って思えるくらいにポップで見やすく内容も良い感じにまとまっている。
1日30分で1章読めば1週間くらいで全部読めると思う。ただし一度読んで内容を正確に理解できるかは音楽の経験による。
ちなみに僕が音楽理論を勉強し始めた頃、この手のありとあらゆる音楽理論書を死ぬほど読み直していた。たいていは土日で読めてしまうけれど、実際の音と合わせて内容を理解するのに時間が掛かった。
というか本を一度読んだだけで完全に理解しようとするのは至難の業だと思う。本は音が出ないのが弱点だからだ。
よくわかる楽典の教科書の<目次>
- 第1章 楽譜の基本
- 第2章 音譜
- 第3章 リズムと拍
- 第4章 音程
- 第5章 音階と調
- 第6章 和音<基本編>
- 第7章 和音<応用編>
- 第8章 演奏に関する指定
- 第9章 曲想・奏法に関する指定
【中~上級者向け】音楽理論の沼に片足突っ込みたい人はこれ
上記の本のレベルが分かった上で、より理解を深めたいなら読んでみてもいいかもしれない本。
ただし、初心者の人にはオススメしない。




難易度 | ★★★☆☆ |
オススメ度 | ★★☆☆☆ |
Keigoの一言 | 網羅性が良い。ただし文が堅いから独学には向かない |
主に楽典の本。音大の入試対策とかで使われるくらいの定番本。楽典の聖書。ガチで知りたい人向け。
楽典の本としては、過去に読んだ人が一番多い本だと思われるのが最大のメリット。
網羅性が極めて高く、練習問題が付いてる珍しい本だから、知識を身に着けたい人には唯一無二な本だと思う。
ただし全く面白さがない硬派な本だし、殴ったら人が絶命するレベルで表紙も堅い。文体も昭和の古臭い感じで、開く前から本棚の飾りになる臭いもプンプンしやがる。さすが聖書といったところか。
一応、僕は楽譜制作の「これ、どうやって表記するんだっけ?」みたいなときに辞書的な役割として何十回も読み直してる。
正直、オススメはできない。足に落ちると死ぬほど痛い。
ただ一応、定番書だし楽典に関してはほぼ全部載ってるのが嬉しい。
独学本としては些か微妙だけれど、「辞書としては使える」ということで紹介しておく。
楽典―理論と実習 の<目次>
- 序章 音,純正律と十二平均律
- 第1章 譜表と音名
- 第2章 音符と休符
- 第3章 リズムと拍子
- 第4章 音程
- 第5章 音階
- 第6章 和音
- 第7章 速さ・強さに関する表示法
- 第8章 曲想・奏法に関する表示法
【中~上級者向け】より実践向きな本
難易度 | ★★★★☆ |
オススメ度 | ★★★★☆ |
Keigoの一言 | 最初にこれ買えばよかった |
上記の「楽典―理論と実習」と内容は少し被る部分もあるけれど、ポピュラー音楽に使うコード進行やコードスケールについても詳しい解説があってより実践的。
ポピュラー音楽やるなら理論はこの本一冊で十分すぎると思う。
文体も柔らくて読みやすいから初心者が勉強を始めるなら「楽典―理論と実習」よりも、こちらのほうがオススメ。
オススメのサイト
無料で勉強したい人のサイト。やる気さえあれば本を買わなくても知識自体は手に入る。
音楽史から作曲入門講座まで




楽譜の基本的な楽譜の読み書き、コードの仕組みが一通り学べる。練習問題もある。
ただし、楽譜を自分で演奏して確かめる必要がある。
公式サイト: 音楽について勉強しよう – ヤマハ
ゲーム感覚で学ぶエクササイズ




ミニゲーム感覚で学べるサイト。アウトプット中心(用語の説明がない)だから、ある程度分かってからがオススメ。
小テストみたいな感じで本当に理解しているのかを確認できる。
公式サイト: 音楽理論を無料で学びましょう – Musicca
ピアノを用意しよう
音楽理論は「音の世界」の話なので、実際に音を聴いて確かめていく必要がある。
特に楽譜と相性の良い楽器であるピアノを使って学習するのが普通。
そもそもピアノは、赤ちゃんでも弾けるくらい簡単に音が出せるし視覚的にも分かりやすい最強の楽器である。
もし自分のメイン楽器がドラムやギター、ボーカルだとしてもピアノは用意したほうがいい。
最安狙いならこれ
激安で用意するならこのキーボードがコスパが良い。乾電池で動くタイプ。別売りでACケーブルもある。
実はプロのレコーディングスタジオにも置いてあったりする。
ピアノも上達したいなら、YAMAHA P-125aがコスパ最強
新品5万で買えるコスパ最強の電子ピアノ。楽器屋さんのランキングでもだいたい1位。耐久性も高いので信頼度抜群。
この価格でこの完成度の高さは群を抜いて銀河まで行ってしまう。
Amazonレビューはこちら








ピアノをゼロから始めたい人にオススメの本
ある程度ピアノが弾けないと音楽理論の勉強も途中で詰まってしまうから、この際ピアノの弾き方も学んでしまおう。
【入門向け】すべては教科書を理解するところから
ゼロから独学でピアノをやりたい人にオススメの本。
演奏フォームや弾く時の手のフォーム、指番号など基本的なところから勉強できる。ピアノの基本中の基本を知りたい人、気軽に始める人に最適。
ピアノの教科書の<目次>
- Introduction ピアノの基礎知識
- Chapter 1 音を出してみよう
- Chapter 2 簡単なメロディを弾こう
- Chapter 3 左手もつけてみよう!
- Chapter 4 コードを押さえてみよう!
- Chapter 5 コードを押さえて両手奏!
- Chapter 6 これでバッチリ!両手奏




オススメの勉強方法と注意点
音楽理論はただの「理論(≒情報)」だ。
用語や使い方を説明しているだけであって、実際の曲で上手く使えるようになるかは別の問題だ。
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