MIDIの打ち込みをリアルなピアノ演奏にする方法と具体的な手順

2019年3月26日

どうも、Keigoです!

Instagramで「DTMのMIDIの打ち込みでリアルなピアノ演奏にするにはどうすればいいのか?」というメッセージがあったので簡単にですが答えてみます。

参考曲は、「秒速5センチメートル」のサントラより『想い出は遠くの日々』です。個人的に大好きな曲。

この動画はリアルタイムでMIDIを打ち込み、ソフト音源で鳴らしています。今回はこのレベルを目標にします。

リアルなピアノ演奏にするポイントは基本的に下記3つです。

  1. ピアノ専用のサンプリング音源を使う
  2. MIDIデータを調整する
  3. リバーブとディレイを設定する

以下、順番に解説します。

なお、イコライザーやコンプレッサーなど細かい設定や音作りなどは別記事で紹介しています。

人気記事MIDIで打ち込みしたピアノソロの音作りとミキシング、マスタリングを考える

Keigo

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その1: 品質の良いピアノ音源を使う

結論から言うと、品質の良いピアノ音源を揃えるといいです。リアルさの60~70%はこのピアノ音源が鍵です。

個人的なおすすめは「Ivory II」シリーズ。プロ、アマ問わず多くの人が導入している人気で定番のピアノ音源です。

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下記の記事で詳しく解説しています。

人気記事Ivory II Studio Grands 徹底レビュー

人気で定番ということは、もしトラブルが起きでもネットに対処法がたくさんあるので安心できます。

ちなみに、Ivory IIは宇多田ヒカルさんも使用されているようですね。

DAW付属の音源や、Kompleteなどのマルチ音源にもピアノの音色はありますが、総合的な表現力はどうしても専用のピアノ音源には勝てません

論より証拠。早速、聴いてみましょう。以下、参考曲01:01~01:19の聴き比べです。この曲に使えそうなピアノの音色を選んでみました。ゲインを揃える以外のプラグインは一切なしで、全く同じMIDIデータです。

最初のゆったりしたフレーズと16分の早いフレーズの違いに注目です。できればスピーカーで音量を大きくして聴いてみてください。

※この曲はルバート(テンポが伸縮する)で打ち込んだので実際には小節線を無視しています。

その1 Cubase付属「Bright Acoustic Piano」……なんかぺちゃっとした感じの音色。奥行き感はあまり感じられない。

その2 Cubase付属「Hard Grand Piano」……いかにもデジタル的な音色。小さい音がない。ピアノソロは小さい音が命。

その3 Cubase付属「Compressed Rock Piano」……わりと奥行き感あり。ただしダイナミックレンジが狭い。ピアノソロはダイナミックレンジも命。

その4 Kontakt「Alicia’s Keys」……マルチ音源「Komplete」のピアノ音源。けっこう上品な音ですごく使える。ただピアノソロには音色が少し細い印象。

その5 Ivory II「Studio Grands」……ピアノ専用サンプリング音源。ダイナミックレンジが広く奥行き感も良い。音作り次第で化けるダイヤの原石。

ね? 音の豊かさが全然違うでしょう? これがピアノ音源を使う最大の理由です。

以前、僕も付属音源やマルチ音源のピアノの音色に対してイコライザーなどを駆使して音のチープさを解決しようとしていましたが、はっきり言って時間だけが過ぎ去っていきました。後からの編集では限界があるわけですね。

Ivory IIを使い始めてからはピアノソロに付属音源やマルチ音源はほとんど使わなくなりました。表現力が格段に違います。細かい調整せず適当に弾くだけでそれっぽくなるので。

他のピアノ音源でおすすめは?

Ivory II以外のサンプリング音源だと、VIENNA社の「YAMAHA CFX」「SYNCHRON CONCERT D-274」なども良さそうに感じました。なにせ、10のマイクポジションで1鍵あたり最大4200サンプル収録という究極までに変態的なピアノ音源です。それなりにパソコンのスペックも求められますが、今現在(2021年3月)のピアノソロに使える音源の最終到着駅はここだと思います。

ただし、音作りではパラメーターが多すぎて初心者には扱いが難しいと思います。

他にも、モデリング音源だとModartt Software社の「Pianoteq」はあまりにも有名です。容量が40MBくらいしかない。笑

ピアノ音源の価格はどれも数万円はしますが、一つ持っておくとピアノの表現力にかなり幅が出て便利です。

サンプリング音源とモデリング音源の違いは?

サンプリング音源……グランドピアノの生の音を一鍵一鍵録音し、それを再生する。リアルだけど容量が大きい。

モデリング音源……録音したピアノ音のデータを加工し、アコースティックピアノの発音の仕組みを計算して音を作り出す。容量が少ない。

その2:MIDIデータの調整が音に命を吹き込む

できれば「リアルタイムレコーディング」をしましょう。ピアノは頑張って練習してください。笑

人気記事ゼロからピアノを独学する方法【おすすめの本と練習法】

MIDIの打ち込みの重要なポイントは主に下記3つです。

  • タイミングとデュレーション
  • サステインペダル
  • ベロシティ

順番に解説します。

打ち込みのコツ1:タイミングとデュレーションが最初の壁

まずはノートを打ち込むタイミングとデュレーション(長さ)についてです。

人がピアノ演奏する場合、すべてのノートオンとノートオフのタイミングが完全に一致することはまずあり得ません。

同時にコードを弾いたときでも、実際にはどの指も微妙にずれて演奏しています。

以下、参考曲の一番最初の1小節です。

▼揃っている場合(良くない例)

すべてのノートオンとオフが一致しています。さすがにIvory IIでも違和感がある演奏です。

▼ずれている場合(良い例)

先程に比べ、より自然な演奏です。最初のコードは同時に弾いているつもりですが微妙にずれています。ちなみに2番目と3番目のコードはアルペジオなので意図してずらしています。

また、以下の図のように、次のノートと完全に連結することもほとんどありません。スラーなどで、メロディを滑らかに演奏する場合はノートが重なることもあります。

▼次のノートと完全に連結している(良くない例)

まあ、ペダルで誤魔化すこともできますが、ピアノ弾ける人にはバレます。笑

▼ずれている場合(良い例)

※この曲はルバート(テンポが伸縮する)で打ち込んだので実際には小節線を無視しています。

最低でもノートオンのタイミングは不自然にならない程度にずらして打ち込むと良いと思います。

ノートオフも大切なのですが、まずはノートオンから。その処理ができるようになったらノートオフを考えるといいです。

打ち込みくさく聴こえる原因は(音源の品質を除いて)ほとんどがノートオンですから。

打ち込みのコツ2:サステインペダルでピアノらしさアップ!

サステインペダルを踏みながら鍵盤を弾くと音が長く持続します。これもリアルなピアノ演奏では不可欠な要素です。

「その作品を活かすも殺すもペダル次第」といっても過言ではないくらい、実際のペダルテクニックはかなり奥深く、繊細です。まともに習得しようと思ったら何年もかかっちゃいます。笑

とりあえず以下の2つ覚えてけば大抵の曲はそれっぽくなります。例外はいくらでもあるので悪しからず。

  1. ノートオンの後、ベース音のノートオフの前でサステインをオン
  2. 次のコードのノートを弾いたらオフ

これの繰り返し。

下の図の縦の青い線がメロディ(トップノート)のノートオン。赤い線がベース音のノートオフです。

※今回のペダルはハーフペダル非対応です。オン・オンのみのペダルです
※弱起なので最初の2音(シ ド#)のメロディは無視しています

▼サステインペダルの良い例

オレンジで書いた矢印。この間でサステイン(cc64)をオンにすると上手くいくことが多いです。次のコードが鳴り始めたらオフです。

▼サステインペダルの良くない例

はい、かなり大げさに失敗させました。とりわけ、サステインのオフが早いところ(ピンク)は音が切れるので誰でも分かると思います。

サステインのオンが早いと弦の鳴りが響いてしまいます。オフほど目立ちませんが注意したいところ。

Goodマークのところは、メロディに辿り着く前のアルペジオの途中ですが、問題ありません。

赤いBadマークのところは、よくあるオンとオフが重なるミスです。「スナップオン(Cubaseだとショートカット:J)」しながらサステインを調整するとやらかすので注意。

ペダルに関しては色々なテクニックがあるので「これですべて解決!」というわけにはいきませんが、大抵は以上のやり方で上手くいくと思います。

ちなみに、電子ピアノのサステインペダルはYAMAHA「FC3A」が一番気に入っています。ハーフペダル対応ですごく使いやすい。

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人気記事【電子ピアノ】サスティンペダルはYAMAHA FC3A これ一択

打ち込みのコツ3:ベロシティの調整が攻略の鍵

ベロシティは「鍵盤を押す速さ」を表し、1~127の値で表されます(0だとベロシティオフ)。事実上「音の大きさ」を表しています。

正直、初心者にとってはベロシティの調整が一番難しいと思います。というのも感覚の部分が大きいからです。「この数字でなきゃダメ!」というのは一切ありません。

逆に、このベロシティの調整が上手くできれば一気にリアルな演奏になります。僕もかなり気を使っています。

先ほどの「タイミングとデュレーション」は目で見て判断できるので比較的調整しやすいですが、ベロシティはなかなかそうもいきません。

例えば、本物のグランドピアノで、できるだけ音量を揃えて同時に「ド・ミ・ソ」と弾いたときに、どの音が一番大きい音になる(ベロシティが最も大きくなる)と思いますか?

実はピアノ歴20年の僕にも分かりません。

運指や音域にもよりますが、リアルタイムレコーディングをした後の数値を見て始めて分かることです。

Keigo

ベロシティを考えて弾いてるわけじゃないからね

例えば、デクレッシェンド(だんだん弱く演奏する)の記号があったとき、後半のノートのベロシティが必ず小さいかと言われると、必ずしもそうではなかったりします。困ったものです。

打ち込みしたMIDIデータを再生しながら「このノートのベロシティが高すぎる、低すぎる」という判断はできますが、ゼロから一つひとつリアルな演奏になるようにベロシティを調整することはとても難しいです。できたとしても多分物凄く時間がかかります。それならもう一度リアルタイムレコーディングしたほうが早いです。

上手く打ち込めない場合は、ヒューマナイズ機能を使うのもありです。むしろ初心者の方はこちらのほうが上手くいくと思います。

Cubaseの場合は、上部メニューから「MIDI」→「ロジカルエディター」もしくは、トラック左側のインスペクタウィンドウ「MIDI モディファイアー」にベロシティをランダマイズさせる項目があります。

また、打ち込みに使うMIDIキーボードの鍵盤の作りによってはベロシティの幅に対応出来ない製品があります。特に安いキーボードだと小さい音(低いベロシティ)が出せないことが多いです。

それでも「リアルタイムレコーディングがしたい!」という方は、比較的安く、鍵盤の質もそこそこ良いYAMAHAのPシリーズがおすすめです。僕も使っています。

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人気記事電子ピアノはYAMAHA Pシリーズ P-125がコスパ最強だと思う【初心者にもおすすめ】

その3:リバーブとディレイの設定

さあ、リバーブとディレイです。これで曲が豹変します。

リバーブとディレイは、広がりや奥行きを表現するのに使います。ピアノの音を少しぼかしたり、遠くまたは近くで演奏させられます。これもベロシティ同様、かなり難しいです。なので細かい設定部分は割愛します。

僕は、どちらもプリでセンドにして使っています。プリだとFXチャンネルのトラックをソロで聴けるので便利です。

追記(2021.3.16):リバーブのInsertも全然あり

しばしばリバーブは「Sendして使う」というのが常識のようにブログやYouTubeで紹介されていたりしますが、Insertでも全然いけます。詳しい設定方法はYouTubeで紹介しています。

こちらは各種FXを立ち上げただけのミキサー画面です。ここから調整していきます。普段はテンプレートがあるのでそれを使います。

リバーブはWavesのIR1やH-Reverb、Rverbなど、ディレイはH-delayやCubase付属のものを使うことが多いです。

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最初にコンボリューションリバーブのIR1でピアノの部屋の大きさを決めます。今回はプリセットの「Knight Halls」を選んでみました。

基本的にプリセットのままで問題ありませんが(下手にいじると悪くなるので)、Reverb TimeとEarly Reflectionだけを調整します。いつもは約1.0秒~2.0秒の間が多いです。今回は1.6s。

これだけでも印象が変わりますよ。ただし、リバーブにEQでカットしていないので現段階では少しボワボワしています。

▼Ivory IIのみ(ゲイン以外のエフェクト一切なし)

▼Ivory II + IR1(ゲイン以外のエフェクト一切なし)

もう少し豊かな響きが欲しいときは、H-Reverbを足します。こちらもプリセットを元に作っていきます。ノイズの付加はオフにします。

▼Ivory II + IR1 + H-Reverb(ゲイン以外のエフェクト一切なし)

ディレイは、1/8音符や1/16音符の間隔もしくは時間を指定して設定しています。これもセンドでリバーブに送ります。送る量は適宜調整します。初めはディレイはなくてもいいと思います。

これで、原音とリバーブ、ディレイの3つ(もしくは4つ)のトラックができました。

最後に、大切なのはボリューム調整です。特にディレイは聴こえるか聴こえないか、というレベルで十分です。音量の小さいセクションではディレイは目立つので。

▼Ivory II + IR1 + H-Reverb + H-Delay(ゲイン以外のエフェクト一切なし)……普段はイコライザーでボワボワする帯域をカットするのでここまでリーバブやディレイが強調しませんが、原音からの変化をわかりやすく紹介してみました。

あとは、コンプレッサーやイコライザーなどを使って微調整し、フェーダーで音量バランスを整えます。

YouTubeなどに投稿する場合は、動画編集をして完成です。

音作りの具体的な手順をYouTubeで解説

YouTubeでも解説しました。音作りに関する情報がアップデートしています。全部で動画は5つあります。

Keigo

Keigoです。ツイッターYouTubeインスタやってます。オンラインでピアノに関する個人レッスンもやっています!

人気記事MIDIで打ち込みしたピアノソロの音作りとミキシング、マスタリングを考える