今ではDTM初心者の定番となっているモニタースピーカーYAMAHA HS5を気が付いたら10年以上使っている。の割にHS5はまだ現行モデル。長生きすぎ。
新品3万円(2本セット)で買ったわりに今も毎日バリバリ稼働していてDTM以外に普段のNetFlixとYouTube視聴にも使っていたり、なんだかんだ生活の必需品になっている。使用頻度がスマホと変わらないことになるけれどもちろん実感は全くない。
ということで今回は人生で初めて買ったモニタースピーカーYAMAHA HS5の感想を僕の独断と偏見で紹介する。
モニタースピーカーの特徴は、原音に忠実


そもそもモニタースピーカーは、録音された音源や演奏されている音をできるだけ忠実に再生するための設計がされているのが特徴なんだ。
一般的なスピーカーとの違いは下記。
特徴 | モニタースピーカー | 一般的なスピーカー |
---|---|---|
音質 | ・フラットな周波数特性 ・原音に近い音の再生が目的 | ・聴きやすさを重視 ・低音・高音が強調されがち |
使用目的 | 音楽制作・ミキシング | リスニング・娯楽 |
設計 | プロ向け | 一般消費者向け |
音楽制作では各楽器の音量やバランスを把握する必要があるから、スピーカー自体が原音に近い音が出せることは必須なんだ。音楽制作には欠かせない機材の一つになっている。
モニタースピーカーの価格帯のイメージは、
- 入門向け:1万円~
- 初級向け:3万円~
- 中級向け:10万円~
- 上級向け:20万円~数百万円
という感じ。音楽は金が掛かる。
YAMAHA HSは、コスパ重視


YAMAHAのHSシリーズは日本のDTM界隈でわりと定番のモニタースピーカーだと思う。長らくモニタースピーカー定番だった「NS-10M」の後継機種であろうから。デザインや中音域の音質もNS-10Mに似ている。
ラインナップは下記5種類。なお価格は2本セット。
モデル名 | 最安値(価格com) | 特徴 | おすすめの部屋の広さ |
---|---|---|---|
HS3 | 25,500円 | ・小型なのに高音質 ・狭いスペース向け ・3.5インチウーファー | 〜6畳 |
HS4 | 29,600円 | ・小規模スタジオ向け ・4.5インチウーファー | 〜8畳 |
HS5 | 33,120円 | ・定番モデル ・5インチウーファー ・初心者におすすめ | 〜10畳 |
HS7 | 59,400円 | ・中規模スタジオ向け ・バランスの取れた音質と出力 ・6.5インチウーファー | 〜15畳 |
HS8 | 93,980円 | ・大きな部屋でも力を発揮 ・8インチウーファー ・プロスタジオ向け | 〜20畳 |
世界中に存在するモニタースピーカーと比較すると実はHSシリーズはだいぶ安いほう。なのに音質はそこそこ良い。安すぎるくらい。コスパの鬼。
基本的にスピーカーは大きいほど低音域がよく出る。スマホのような小さいスピーカーの低音域が全然出ないことから、なんとなくイメージはできると思う。
YAMAHA HS5のスペック


で僕が使ってるYAMAHA HS5は~10畳までの部屋に合いそうなサイズ・音量感。だから日本の普通の部屋にも丁度いい感じ。
HS5はツイーター用とウーファー用にそれぞれアンプを2台内蔵。バスレフポートはリアのタイプ。
- 音楽制作向けパワードモニタースピーカー
- ツイーター:1インチ
- ウーファー:5インチ
- 周波数特性:54Hz~30kHz
- 最大出力:70W (LF=45W / HF=25W)
- 入力端子:XLR / PHONE(バランス)
- 消費電力:45W
- 寸法:170x285x222mm
- 重量:5.3kg(1本)
- 価格:約15,000円(1本)
各種調整はスピーカーの背面で可能。




- LEVEL:音の出力を調整
- CONTROL:500Hzをカット・ブースト
- ROOM CONTROL:500Hzをカット・ブースト
- INPUT:XLRかTRSケーブル
- HIGH TRIM:2000Hzをカット・ブーストできる
10年使った感想




初めてモニタースピーカーの音を聴いたときの音質にはとても驚いた。新しい眼鏡・コンタクトレンズに買い替えたときくらい、よく見える。音の解像度がすごく高い。曲の印象がまるで違う。うひょー世界は素晴らしい。
で10年使った今ではその音質に慣れてしまったから良くも悪くも普通。でも逆に自分の中で音質基準をぐっと引き上げられたのは良かった。音楽制作や鑑賞においてとても価値があったと思う。
高級スピーカーとの差
一応、他のメーカーの数十万円する高級スピーカーを何度も聴いたことがある。確かにHS5と比較するともっと高い解像度と豊かな音質を感じた。
とはいえ高級スピーカーの性能を十分に発揮するには広い空間と大音量を鳴らせる環境が必要……だから普段使いには僕には不要だと悟った。
日本の普通の10畳までならの部屋ならHS5で必要十分だと思っている。ヘッドフォンと組み合わせれば音楽制作には特に困らない。だから10年も買い替えていない。
なおヘッドフォンはM1STを使っている。これも定番ではある。
欠点は2つ
HS5はしょせん3万円だし音質については特に不満はない。むしろ中音域は十分すぎるくらい良い仕事をしていると思う。低音域はスカスカだけど例によって音量を出せない以上ヘッドフォンに頼らざるを得ない。だから欠点というわけでもない。
欠点を強いて言えば2つ。
ツマミの位置
楽に操作できるように前面にツマミが欲しかった。毎回後ろに手を伸ばすのがだいぶ面倒。まあ技術的な制約やデザインのためには仕方なかったかもしれない。でも生産終了したMSPは前面にツマミがあったけどな。


まあでも一度設定したら一生触ることもないので問題ないっちゃ問題ない。
睡眠を奪うLED
前面ロゴのLEDが眩しすぎ。夜遅くに作業してるときに目が辛くなるからシンプルに邪魔。オフにできないからガムテ貼ってる。ダサすぎ。
最近のとりあえずLED付ける製品作りは本当に止めてほしい。部屋中がLEDだらけで夜全然寝られない。LEDという人類の素晴らしい発明が僕の人生に不幸をもたらしている。
だからLEDは常時オフにできる機能を付けてほしい。ポケモンスリープを極めたいから。
余談:たまたま見つけた
僕が大好きなフリーレン。のメインテーマのボーカルの人もHSを使ってた。アニメの完成度が高すぎてGOATだから原作も一生続けてほしい。
注意:スピーカーにも機材が必要


上記HSのスピーカーを買っても付属品は「スピーカー本体」と「電源ケーブル」のみ。ケーブルなどが付属していないPCで再生するなら追加で以下2つが必要になる。
- XLR(オス)-TRSのバランスケーブル x 2本
※TRS-TRSケーブルでもOK - オーディオインターフェース
スピーカーにXLRオス、オーディインターフェイスにTRSを差し込むと、スピーカーが使えるようになる。
補足:僕が使っている機材
僕は使っている機材(2024年)は以下。参考まで。
スピーカーに繋ぐケーブル
ケーブルは定番のモガミ2534。プロのスタジオでもよく見かけるケーブル。日本製。迷ったらこれにしておけば間違いない。コスパ最強だから。
ちなみに僕が持っているケーブルはすべてモガミ2534。というか、死ぬまでモガミ2534しか使わない予定。僕の音楽ライフにはモガミ2534で性能は必要十分。
オーディオ界隈は魔境かつ宗教だから安易に足を踏み入れると全うな人生を送るレールから脱線しがち。僕の価値基準は音楽を作る側にあるのであってコレクターではないから機材は品質と価格と耐久性が必要十分であればいい。僕にとってケーブルの場合は、モガミ2534。
オーディオインターフェース
という基準で、オーディオインターフェースはMOTU M4を使っている。16万円の上位機種と全く同じDACを搭載したオーディオインターフェース。
3万円で買えてコスパ最強すぎるとバズった商品でもある。確かにまじで音は良い。


最適なセッティング方法


モニタースピーカーは、ツイーターと耳の位置を水平に合わせるのがセオリー。けれど、たいていの日本のデスクの床からの高さは、
- JIS規格:70cm
- JOIFA(日本オフィス家具協会):72cm
だからスピーカーを机に直接置くと高さが足りない。ということもあってスピーカースタンドが必須になる。
僕は定番のISO Acousticsを使っている。


高さ、傾斜角の調整が可能でサイズ的にHS5とドンピシャだった。
直接デスクに置くのはNG


で何で上記で1万円以上もするスタンドを使っているかというと、これまた不都合があるから。
デスクに直接スピーカーを置くと、スピーカーから出力された固体電波音がデスクを伝って部屋中に低音域が広がってしまう。特にスピーカー後方の壁で増幅された低音が実際よりも大きく聞こえる。つまりモニターとしての役割を果たせていないことになる。直接デスク置きは避けるのがセオリー。
ということで普通は、スピーカースタンドかインシュレーターを使う。スピーカとデスクの密着面を減らして振動を極力床に通さないようにするものだ。
インシュレーターはこれ。


似たようなやつなら100均にもありそうだけれど素材によって振動の抑え方の性質が物理的に異なるらしい。できれば専用のものがベター。当たり前。
予算がなければ10円玉を数枚を重ねてスピーカーの下に置くと似たような効果が得られる。十分ではないけれど直接置きに比べれば音は格段に良くなるはず。
最強は重さのあるコンクリートブロックらしい。ダサいので僕はパスだけど。
謎のノイズの原因は……
スピーカーを無線LANルータの近くに設置するのもNG。無線(電磁波)の影響でスピーカーからノイズが発生することがある。
僕が謎のスピーカーノイズに悩まされていた原因が無線ルータだと気が付いたのは随分時間が経ってからだった。急に飛び出す奈良の鹿くらい気づかん。
個人的なセッティング
HS5のスピーカー背面の設定は以下。


- LEVEL:2時方向
- INPUT:MOGAMI 2534のXLRケーブル
- ROOM CONTROL:0
- HIGH TRIM:0
スタンドと合わせて、下記のような感じ。




余談:上位機種MSP5との差
HS5には上位機種MSP5がある。正直に言えばHS5はMSP5よりも解像度や低音域が少し足りない気もする。
MSP5はペアで5万円台。差額は約2万円。たかが2万、されど2万。
とはいえMSP5は音量をかなり上げないと低音域がしっかり出て来ないので、HS5との性能差を感じるまでの条件が個人宅には少々キツイ。つまり買ってもその良さを発揮できない可能性が高い。10畳くらいの部屋なら僕はHS5で必要十分派だ。
と思っているんだけれどMSP5は2022年7月に生産終了してしまったから、今ならHS5一択になってしまった。
余談2:今から買うなら、ADAM AUDIO D3V
とはいえ今から買うならHS5よりも最近(2025年)新しく発売されたADAM AUDIOのD3Vが良いと思う。ドイツのベルリンで1993年に設立したメーカー。
HS5の弱点である低音域の弱さが、D3Vにはない。小さいくせにホントよく鳴る。それもそのはずHS5のピーク時の消費電力140WだけどD3Vは240Wもある。力こそパワー。HS5より小さいのにすごい。
価格はペア(2本)で43,000円。入門用の予算としてもまあ許容範囲内な気はしている。この次の上位ランクのスピーカーだと10万円超えだし。
価格も発売時期も違うからHS5とD3Vを比較するのは可哀想だけど、今から買うならD3Vも検討してみると幸せになれるかも。
終わり😊
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