オーディオ関連の機材をネットで調べると、検索の上位に出てくる「PRO CABLE」というサイトがある。スピーカーやアンプはもちろん、電源ケーブルや電源タップなどオーディオ機材に関する蘊蓄(うんちく)を独自の視点で語って販売しているオーディオ専門の店らしい。
そのサイトに「6,000円で買えるAKG K240 Studioが他の高級ヘッドフォンに比べて音が良い」という主旨の記述があって「本当か?」と疑問に思ったので早速買って検証してみた。
まんまと人柱である。
ということで今回はAKG K240 Studioのレビューを僕の独断と偏見で紹介したい。
AKGスタジオモニターシリーズ
AKGのモニターヘッドフォンシリーズはコスパの良いモニターヘッドフォンとして有名だ。
サウンドハウスのサイトにある比較表を見てみよう。
左側が『K240 Studio』。中央が僕が以前購入した『K240MKII』。密閉型の『K271MKII』というのもあるようだ。
基本的に大きさや重さは変わらないけれど、付属品や性能が少し違うっぽい。
届いた
というわけで、早速サウンドハウスで買って、届いた。
付属品はシンプル。箱と本体とケーブルだけ。
今回はついでにPRO CABLEが推していたノイマンのヘッドフォン用ケーブルも買ってみた。
とことん戦略にハマってやろうじゃないの。自分で試してみないと本当に良いかは分からないから。
AKG K240MKIIに比べるとずいぶん簡素な箱に入っている。値段の差は箱代か?
素材も安っぽいから高級感があるようでない。でも音が良ければそれでいい。
結論:よく分からん
オーディオは「パソコン選び」と同様に酒やタバコ、車など嗜好品の類だ。嗜好品である以上、自分の価値観と少しでも違うものなら、それはもうマニアから徹底的に攻撃される。邪教を嫌う宗教と同じだ。
とはいえ本音を語らない媒体には価値がないので社会的に殺されない限り僕は正直に書く。
早速聴いてみたもののK240 Studioの音が良いのかはよく分からん。モニターヘッドフォンとしては普通な気もする。まあその普通が大事だと言われれば、それまでだけれど。
ちなみに使ったオーディオインターフェースはコスパ最強のMOTU M4。
PRO CABLEが推奨するほど驚愕な変化は感じない。厳密な検証をしたらもう少し違った感想があるのかもしれないけれど。
少なくとも僕には普通。再生環境の問題かもしれない。僕の耳が悪いと言われたらそれまでだけれど、僕は5歳からピアノもやってるし絶対音感もあるから人並み以上の聴力はあると信じたい。
K240 Studioの音の分離はそこまで良いわけでもなかったので、少なくともDTMのミキシングは僕は無理。
ついでにサウンドハウスに徹底比較のページがあったから見てみたのだけれど、あのレビューの星の数にどれだけの信頼性があるのかは謎。
まあただ、安いイヤフォンからこれに乗り換えたら音が良くなるのは確かだと思う。当たり前か。
装着感はけっこう良いし、頭も痛くならないからリスニングとか電子ピアノの練習とかにはちょうど良いかもしれない。
初めの1台ならあり?
AKG K240MKIIとAKG K240 Studioもあまり変わらない。というか僕には変化が分からない、が僕の最終回答だ。
純正ケーブルもプロケーブル推奨のノイマンに替えてみたけれど、これもそこまで変わった気がしない。プラシーボ並みの効果はある。
セミオープンなので音が漏れる仕様だけれど定位は分かりやすいし特定の周波数が変に強調されてることもない。楽器や歌を録音するなら密閉型にしないとNGだけれど。
とまあ散々書いたけれどK240 Studioは特別問題があるヘッドフォンというわけでもなく、いたって普通に安くて良いヘッドフォンだと思う。とりあえずこれだけは言えるのは「気に入ったものを買ってください」だ。
値段は安いから初めの1台なら悪くないかもしれない。
余談:今から買うなら何か?
定番のCD900STについて
スタジオで定番のヘッドフォンSONY MDR-CD900STがある。
密閉型だからレコーディングによく使われる。いわゆるモニター用だ。僕も以前使っていた。
たまにネット上で、DTM初心者に最適なヘッドフォンとしてMDR-CD900STが薦められてるけれど、個人的には微妙な選択だと思う。楽器の定位が判断しづらい。というか最近のCD-900STはちょっと神格化しすぎている気配すらある。
MDR-CD900STがスタジオで選ばれている理由はおおむね下記のとおり。
- レコーディングに使える密閉型
- 音質は比較的良好
- 耐久性が高い
- 入手性が高い
- 価格が比較的安め
- 発売から長いので安定感・信頼性が高い
- ということは修理がしやすい
音楽の歴史的経緯もあると思うけれど、ここでは割愛する。
CD-900STは安定・品質・長期供給に向いている製品だから使われている。「性能が良いから~」というのは、正直今の時代はいくらでも良いヘッドフォンはあるわけだからメインの理由にはならない。
もちろん、音漏れしづらい構造なのでマイクを立てて歌やギター、ベースを録る人、ノイズチェックには向いてる。他にも、プロのアーティストが昔から使っていれば、慣れているという理由で現在も使っていることもあると思う。
ただしミックスやマスタリングとなると、CD-900STの構造上やはり上手くパン、奥行き、音量のバランスが取りづらい。ただそこは低音がほとんど出ないし広がりもないからこそ自分の声や楽器の音が聞き取りやすいというメリットにもなる。だからこそモニター用になってる。
少なくともミックスやリスニング用ではない。あと、物理的に耳が痛い(改造できるけど)。
DTM用途ならまだMDR-7506のほうが全然まし。安いし。
追記:なんだかんだSONY M1STかMV1
予算が大幅オーバーしてしまうけれど、今現在は音楽制作用途ならSONY M1STかMV1推し。どちらもモニターヘッドフォン。
M1STはCD900STの後継機。YouTubeのFirst Takeでも何度も見かける。ケーブルが脱着可能になった。密閉型。音はとても音楽的。
対してMV1は開放型。ミックスやマスタリング用途ならMV1のほうがいい。M1STよりもダイナミックレンジが広くて低音域もより聴こえる。ただし開放型だから音はダダ漏れ。M1STとは設計が違うらしい。
この記事の結論としては今の僕ならK240は買わない。マイク録音するならM1ST、しないならMV1。価格帯が違いすぎるからごめんなさいって感じ。
コメント
コメント一覧 (4件)
k-240-sとMK₋Ⅱ同じ音なら安いほうが高性能という評価もありですよね。
そうですね!
違いはあまりよくわかりませんでした……笑
今回のようなプロ用機材は送り出し側の機器のインピーダンスに影響受けるしな・・
素人は手を出してはいけない領域なのかな。
それはあると思います!
性能の良いヘッドフォンアンプだと違いが分かるのかもしれませんね。
商品自体は安くて良いのでガンガン使っています。