最近僕の友達がピアノを始めたらしく、
「どうやってピアノを練習していけばいい?」
と連絡があった。他にも、僕のフォロワーから似たような質問を何度もされていたりするので、せっかくだからこの記事でも紹介しておきたい。
ポイントを抜き出すとこんな感じ。少し長いけど。
- プロの演奏を真似をする
- まずは自分の頭で考える
- 分からないならすぐ調べるか訊く
- それでも分からないなら放置。いつか分かる
- アウトプット7割、インプット3割
- 毎日演奏動画を撮る
- 1日5分でもいいから半年このループ
- 演奏フォームの習得優先
- 週1でも教えてもらうのがベター
- 必ずメトロノーム使う
- 楽譜は読めるように
- 誰かに聴いてもらう
- 好きな曲やる
- 2曲以上同時にやる
- 目標のハードル下げめで
- 他人と比べない
- 上達具合は長期目線で
- 楽しく続けること一番大事
これらは5歳からピアノを弾いている僕の経験を踏まえた、科学的にも(議論の余地はあるけど)効率的なピアノの上達方法だと思う。過去の僕に向けてアドバイスしたい内容でもある。
ピアノ上達法1:上手い人を真似する
最強のピアノ上達法を一つだけ挙げろと言われたら、
上手い人の演奏をコピーしよう!
と僕は秒速で答える。
あらゆる分野において、真似は最強の学習法だからだ。
勉強もスポーツも芸術も、プロの動きや考えを真似することが上達への第一歩だというのは言うまでもないことだと思う。特に、真似をしようとする行為そのものが科学的にも効率が良い練習方法だ。アクティブラーニングに近い学習法だけど詳しくは割愛する。実際に、あらゆる分野のプロは真似から始めているはず。
音楽の分野ではプロの演奏者(お手本)と同じように弾く、再現することを「コピーする」とよく言う。他の分野でもそう呼ぶかも知れないけど。
一応、理論上は楽譜のとおりに弾けば同じ音は弾けるけど、お手本と同じような表現にならないことも多い。「メゾフォルテ」や「クレッシェンド」一つとっても様々な表現があるし、そもそも市販の楽譜の採譜が間違っていることは珍しくない。
もちろん、完璧にコピーする必要はない。今の自分ができる限界まででいい。
僕はピアノのコピーでは、主に以下5つについて注意して行っている。
- できるだけ原曲を聴く(アマチュア演奏や出所不明の謎アレンジ曲はNG)
- メロディやコード(音楽理論)を注意深く確認する(なんとなくNG)
- 音の強弱の付け方など(演奏表現)を注意深く確認する(なんとなくNG)
- 動画があれば運指を確認する
- ピアニストの癖や傾向を知る
たとえば、千と千尋の神隠し「One Summer’s Day」が弾きたくなったとする。なら、作曲者・久石譲のピアノ演奏をチェックする。
で、コピーしてみる。
自分の力でコピーして、同じように演奏するまでに得られる知識や経験は誰かに教えて得られるものではない。
もし自分で考えて調べても分からないければ、そこで初めて先生やアドバイスしてくれそうな人に訊くといい。
泥臭い作業かもしれないけど、自分でコピーすることこそ最強の上達法だと知っておこう。
ピアノ上達法2:自分の頭で考える習慣を身に付ける
ここは少しマインド(心の持ちよう)の話。主体性が大切だという話。
「自分の頭で考える」対象は、たとえば、楽譜の読み方やピアノの演奏・表現方法、もっと言えば市販の曲や映画・アニメ、日常生活で感じたことについてもだ。
当たり前だけど、テレビやSNS、この記事も含めて、
ただ見ているだけでは、
絶対に上手くならない。
それは他人主体だからだ。もしそれで上手くなるなら、みんな何かしらのプロになっているはずでしょう?
大切なことは、
まず自分の頭で考えて、調べて
自分なりの意見を持つこと。
他人がいつも正しいとは限らない。1分だけでもいいから能動的でいること。いつも受動的ではダメ。これから始める人も例外ではない。実は小学校からずっと言われているはずだけど案外できていないことが多い。
たとえば、最近ありそうなのは、自分が気になった曲をAmazonのレビューやTwitterを見てから「世間では評価されているから、やっぱ良い曲なんだ」とやる行為。それは他人の顔を伺って評価しているわけで、そこには第一に自分の考えや意見、主体性がない受動的な評価だ。自分が好きならそれでいい。
ただ、自分が好きになった曲や作品があるなら「なんとなく好き」ではなく、好きになった理由をいくつか言語化してみるといい。これがピアノの演奏表現にも役になってくる。
基本的にネガティブな発言は角が立つから僕はネットでもリアルでも発信しないけど、面白くない作品を見た・聴いたときも「なぜ面白くないのか」を言語化するようにしている。気になったストーリー部分や演出、セリフ、音楽、音響などについて自分を納得させるだけの具体的な評価をしている。
たとえば、僕が大好きな「スターウォーズ」…の中でも大嫌いなエピソード7~9。
僕の病的なまでの言語化の例はこんな感じだ。
「EP7~9は全体的にテーマがねえ! EP1~3は愛と憎しみ、EP4~5は冒険と救済があったろう!」
「どこかで見たような惑星ばかりだな!目新しい光景ないじゃん!?」
「初めてライトセーバー起動した素人が即実践できてたまるか!夢壊れる!」
「フォースで真空宇宙活動できるか!フォースは役に立ちそうで手が届かないちょっと不思議な力くらいだったろう!」
「えっ!フォースで傷を瞬く間に修復できるの!?ならクワインガンやダースベイダーの死の意味ないじゃん!」
「フォース魔法扱いすな!」
「悪役スノーク、お前正体よく分からずサクっと殺されたな。誰だよ!」
「悪役パルパティーン、お前クローンらしいな。もっと事前に匂わせとけよ!」
「唯一ワープ特攻は新しい表現だったな!これはなかなか良かった!」
「大英雄ルークの出番ほとんどないじゃん!リンボーダンスはいいよ!Xウィング引き上げてくれよ!」
「巷で噂のローズについて多くは語るまい。が、そもそもいなくても作品が成立するぞ!?」
「最終決戦、船が近接しすぎていて逆にしょぼい!数で誤魔化してるだけ説ない!?」
「えっ!スカイウォーカーという血筋が主人公を名乗るために必要な根拠なんじゃないの!?」
「スカイウォーカーの血筋 + 訓練されたやつと孤児の素人が同じ実力ってありかよ!」
「スカイウォーカーを名乗るって何だよ!お前はお前のままでいろよ!」
「展開や結末が支離滅裂な状態で完結!うわあ!」
「あれほど広げた伏線が見事なまでにガン無視じゃん!ファー!」
「今までのような印象的な音楽…特になかったな。悲しい」
「ベンを主人公色強くしたらスカイウォーカー3代の物語としてしっくり来ない!?」
「EP7~9は近年稀に見るそびえ立つクソ!と言われても擁護できねえよ!」
「ローグ・ワンは傑作じゃねえか!これだよこれ!」
「マンダロリアンは傑作じゃねえか!これだよこれ!」
その他の映像・音楽作品についてもこんな感じで感想を言語化している。ただ、僕は自分が批評するのは好きだけれど、批判されるのは大嫌いなので、これを最後にネガティブな発言はしないでおく。
どうでもいいが「トップガン マーヴェリック」は2022年に公開された映画で最も心が震えたほど面白かったから一度は見てほしい。
そんな感じで、上記のような評価を反面教師として自分の音楽にも取り入れる、というスタンスだ。
もちろん受動的に練習のやり方や考え方を知ること大切だけど、それ以上に「実践して疑問を持って自分の頭で考えて自分なりの結論を持つこと」そのもののがピアノの理解を深めて上達に繋げるために重要になってくる。
自分で考える習慣を身に付けよう。
ピアノ上達法3:分からないならすぐ調べるか訊く
分からないこと自体は全く悪いことではない。むしろ前に進んでいる証と言える。ただし、分からないことを先延ばしにする行為は基本姿勢としてNG。上達が遅れてしまう。
今すぐスマホで調べてみよう。
たいていのことはGoogle検索かYouTube、Twitterあたりを見れば解決するはずだ。調べても解決できないと思ったら、そこで初めて経験者や先生に質問すると良い。
最初から人を頼る行為は、まさに他力本願。すぐ人に訊かない。自分のためにならないし記憶にも残りにくい。
ジブリ映画の作曲家・久石譲も(確か)2008年の武道館コンサートのインタビューで「コツコツ頑張ってください」的なことを言っている。
地道に一歩ずつ進もう。
ピアノ上達法4:それでも分からないなら放置。いつか分かる
とは言ったものの、調べても訊いてもよく分からないときが多々ある。
特に曲の表現など概念的なものは初学の段階だとよく分からなかったり、耳コピを何回してもコードの構成音が不明瞭だったり、メロディのスケールの判断に自信がなかったり、曲の解釈も人によってバラバラだったりする。
そういうときは放置でOK。考え抜いて分からないなら仕方がない。
で、半年くらい経って過去の疑問が急に理解できたりすることがある。頭の中で思考が整理されていく成長過程の停滞期「プラトー」のようなものだと思う。
ただし当然だけど、放置を前提に練習するのはNG。
ピアノ上達法5:アウトプット7割、インプット3割
上達のためには、実際に弾く行為7割、調べたり訊いて知識を入れる行為3割くらいのバランスで進めるのがちょうど良い。
ピアノがなかなか上達しない人は、後者のインプット作業が9割になってしまっていることが多い。上記でも書いたけど、受け身の姿勢では成長しない。
また、ただ弾いて終わりもNG。必ず演奏を振り返って、良かった点や改善点を自分の頭で考える習慣を付けよう。
まずはアウトプット作業がメインだということを忘れずに。
ピアノ上達法6:毎日演奏動画を撮る
今は誰もがスマホで動画を撮影できる時代。自分の演奏を撮影した動画は、客観視できて改善点を見つけやすいのでオススメだ。
というか、
楽器演奏が上手い人は、
必ずと言っていいほど録音・録画をしている。
だから三脚とスマホホルダーを揃えよう。
ちなみに僕のオススメはこちら。
ピアノ上達法7:1日5分でもいいから半年このループ
勉強もスポーツも音楽も、上達には練習の継続が必須だ。今日も明日も明後日も、できれば1年後も続いているのが望ましい。
とはいえ、人は大きな目標ばかり見ているとなぜか行動できなくなる生き物だし、やらない理由を探し出す天才だ。善悪の問題ではなくて、ピアノの習得のような年単位で継続が必要なマラソンが人間は元から苦手なのだ。今すぐに報酬が出ないとやらなくなっちゃう。
大切なことは、1日5分でもいいから毎日ピアノに向き合う時間を作ること、そして今まで書いた要素を半年くらい毎日実践し続けることだ。科学的に、習慣は平均して66日(個人差あり)で身に付き始めるらしい。
人はその行動を習慣化したら上達を止められないので、半年も続ければ明らかに上手くなっているはず。
まずは今から5分、ピアノに向き合おう。
ピアノ上達法8:演奏フォームの習得優先
特に初学者、いや中上級者ですら正しい演奏フォームを今一度見直したほうがいい。演奏フォームが乱れていると上手く表現できない。
文字では伝えきれないけど、基本的な注意点は下記のとおり。
- 腕が地面と平行になるように椅子の高さを調整
- 腕の重さを指に伝える
- 手の形は自然な丸みに(脱力)
- 背筋を伸ばす
- 肩を上げない
- 重心は真っ直ぐか少し前
- 椅子は浅めに座る
- 左足で体のバランスを取る
特に、電子ピアノを使っている人は、そもそもグランドピアノと異なる鍵盤の高さで弾いてしまっていることが多いので中が必要だ。
本物のグランドピアノは床から白鍵盤の上部まで73cm〜75cm(機種により上下する)なので、それに合わせて電子ピアノの高さを調整しておくと良い。もちろん、DTMなどでは机の高さとの兼ね合いでグランドピアノと同じ位置に設置できない場合があるのでできる範囲でOK。
コメント