卒業ソング『旅立ちの日に』のコード進行と楽曲分析、ピアノ伴奏
卒業シーズンなので、平成屈指の卒業ソング「旅立ちの日に」を弾いてみました。
僕は数年前に歌ったきりですが未だに歌詞は覚えているほど、とても印象に残っている曲です。
この記事では「旅立ちの日に」のコード進行と楽曲分析を紹介します。
「旅立ちの日に」の楽曲概要

「旅立ちの日に」のピアノ伴奏、弾いてみた!
作詞:小嶋登
作曲:坂本浩美(現・高橋浩美)
編曲:松井孝夫
Key of Bb Major(変ロ長調)
原曲の変ロ長調ですが、他にハ長調などの様々な調で歌われています。
また、混声三部版、混声四部版、女声三部版、同声二部版と複数のバージョンがあります。
「旅立ちの日に」のコード進行
●イントロ
| Bb | F/A | Eb/G F7 | Bb F/A |
| Gm Dm/F | Eb Bb/D | Cm7 | Fsus4 F7 |
| Bb | Bb |
●A1
| Bb | F/A | Eb/G Fsus4 F7 | Bb F/A |
| Gm | Dm7 | Cm7 | Fsus4 F |
●B1
| Bb | F/A | Gm Bb/F| Eb Eb/D |
| Cm7 Eb/F F7 | Bb Gm | Cm/Eb Cm7 | F7 |
●C1(サビ)
| Bb F/A | Gm | Cm7 | Fsus4 F |
| Bb F/A | Gm Gm/A | Eb Cm7/F | Bbadd9 |
●間奏
| Eb F/Eb | Dm Gm | Cm7 F7 | Bb F/A |
| Gm Dm/F | Eb Bb/D | Cm7 | Fsus4 F7 |
| Bb | Bb |
●A2
| Bb | F/A | Eb/G Fsus4 F7 | Bb F/A |
| Gm | Dm7 | Cm7 | Fsus4 F |
●B2
| Bb | F/A | Gm Bb/F| Eb Eb/D |
| Cm7 Eb/F F7 | Bb Gm | Cm/Eb Cm7 | F7 |
●C2(サビ)
| Bb F/A | Gm | Cm7 | Fsus4 F |
| Bb F/A | Gm Gm/A | Eb Cm7/F | Bb Fm/Bb |
●D(大サビ)
| Eb F/Eb | Dm7 Gm Gm/F | Eb Cm7/F | Bb Fm/Bb |
| Eb F/Eb | Dm7 Gm Gm/F | Eb | Cm7 | Cm7/F F7 | Bb Fm/Bb |
| Eb F/Eb | Dm7 Gm Gm/F | Eb Cm7/F | Bb Fm/Bb |
| Eb F/Eb | Dm7 Gm Gm/F | Eb | Cm7 | Cm7/F | F7 |
●エンディング
| Bb | F/A | Eb/G F7 | Bb F/A |
| Gm Dm/F | Eb Bb/D | Cm7 | Fsus4 F7 | Bbadd9 |

小学生の頃、ピアノ伴奏を何度かやったけど、卒業式では別の女の子に伴奏を取られました。
「旅立ちの日に」の楽曲分析
合唱の王道「下降の順次進行」
「旅立ちの日に」では、主に「下降の順次進行」が使われています。
順次進行とは、ある音が2度上または下、つまり音階(スケール)の隣り合った音へ移動することです。
「下降の順次進行」はバラードに頻繁に使用されるコード進行として有名です。

「純情コード進行」とも言う!
分かりやすいのはイントロです(エンディングも同じ進行)。
●イントロとエンディングのコード進行
| Bb | F/A | Eb/G F7 | Bb F/A | Gm Dm/F | Eb Bb/D | Cm7 | Fsus4 F7 | Bb |
これをベース(合唱ではバス)だけの音にしてみます。
●ベース音だけ
| Bb | A | G F | Bb A | G F | Eb D | C | F | Bb |
もっと分かりやすく日本語にします。
●ベース音だけを日本語で
| シ | ラ | ソ ファ | シ ラ | ソ ファ | ミ レ | ド | ファ | シ |
綺麗に下降の順次進行なのが分かりますでしょうか?
これの進行のルーツはおそらく、バロック期 (16世紀末から17世紀初頭)にドイツの作曲家、ヨハン・パッヘルベルが対位法の理論を用いて作曲した「カノン」です。
とても有名な曲なので一度は聴いたことがあると思います。
とても落ち着く進行ですね。
●カノン進行 (ハ長調)
| C | G | Am | Em | F | C | F | G |
このカノン進行に対し、展開型とII-Vを用いてベースを滑らかに繋ぎます。
●下降の順次進行 (ハ長調)
| C | Em/B | Am | G | F | E | Dm | G |
すると、あら不思議。「下降の順次進行」は最後のII-V以外、ベース音が順次進行するので、より落ち着いた印象になります。

卒業式ソングはいっつも下降進行してんぜ!(適当)
「旅立ちの日に」は中学校の教員が作った曲!?
「旅立ちの日に」は、1991年(平成3年)に埼玉県の秩父市立影森中学校の教員によって作られた合唱曲です。
当時の校長先生が、荒れていた学校を矯正するため「歌声の響く学校」を目指し、合唱の機会を増やしました。最初こそ生徒は抵抗したものの、音楽科教諭の坂本先生と共に粘り強く努力を続けた結果、歌う楽しさによって学校は明るくなったそうです。
その「歌声の響く学校」の集大成として「旅立ちの日に」は生まれました。
制作当時は影森中学校の「3年生を送る会」で教員から卒業生へ贈られる歌でしたが、翌年から生徒たちが歌うようになったそうです。

校長イケメンすぎ。笑
「旅立ちの日に」は平成で最も有名になった卒業ソング
「旅立ちの日に」ができて以来、しばらくは影森中学校だけで歌われた合唱曲でしたが次第にまわりの小中学校でも歌われるようになりました。
当時、東京都の中学校で音楽教論を務めていた作曲家の松井孝夫さんがこの曲を知り、混声三部合唱への編曲を行いました。これが雑誌『教育音楽』に取り上げられたことで、1998年頃までに全国の学校で歌われるようになりました。
さらに、2007年にSMAPが出演するNTT東日本のCMソングに起用されたのをきっかけに、小中高校の卒業式で定番のように歌われていた『仰げば尊し』や『巣立ちの歌』、『贈る言葉』などを抜き、全国で最も広く歌われる卒業式の歌となりました。

平成で最も日本国民を卒業させた曲だね!
おわりに
今回は卒業式の定番ソング「旅立ちの日に」のコード進行と楽曲分析、ピアノ伴奏を行いました。
平成もあと少しで終わりますが、次の時代も卒業式定番ソングとして歌われ続けることでしょう。
それでは!
平成で最も多くの日本国民を卒業させた曲「#旅立ちの日に」。
1991年に埼玉県の中学校の教員によって作られ、2007年にSMAPが出演するCMソング起用をきっかけに『仰げば尊し』や『巣立ちの歌』『贈る言葉』などを抜き、全国で最も広く歌われる卒業式の歌となりました。https://t.co/bc5hWpMx84— Keigo (@type00k) March 15, 2019
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