【もののけ姫】久石譲『アシタカとサン』弾いてみた | コード進行と楽曲分析、オーケストラ

2018年10月27日

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Keigo

どうも、Keigoです!

映画「もののけ姫」が公開されたのが1997年。

もう20年も前の作品になりますがこの作品のサウンドトラックは永久に色褪せることのない名曲揃いです。

今回は「もののけ姫」のエンディングで流れる『アシタカとサン』をピアノで演奏 + オーケストラ打ち込みをして動画をつくりました。ついでに、コード進行と簡単な楽曲分析もしてみました。

ピアノで弾いてみた + オーケストラ打ち込み

今回、初めてEast Westの「Hollywood Orchestra」を買って打ち込んでみました。 ピアノとグロッケンシュピール、ハープ以外はすべて「Hollywood Orchestra」です。

Kontakt標準のオーケストラ音源に聴き慣れてしまっていたので、初めて音を聴いたときはとても感動しました。さすが、お高いだけある……! だが破産寸前!笑

▼打ち込む前にささっと耳コピ。ノートに楽曲のラフ進行や強弱記号など書き込んでいきます。

▼スコアが発売されていないので正確ではありませんが適当にCubaseとFinaleで清書していきます。

上の段が主旋律。下の段が和声。中域が聞き取りにくいのは仕方ないのでベースと主旋律の間を埋める作戦。

ピアノは耳コピというかアドリブというか……適当です。笑

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Keigo

どうせ自分しか見ないしね。笑

どうしてもコード表記のほうが分かりやすいので概要はそちらで把握しています。

クラシック和声は……ピストン、デヴォートで絶賛勉強中です。笑

楽曲概要

icon-check 「もののけ姫 サウンドトラック」、31曲目に収録
icon-check 発売:1997年7月2日
icon-check 時間:3分12秒
icon-check 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
icon-check 作曲:久石譲
icon-check 作詞:麻衣(「久石譲in武道館 〜宮崎アニメと共に歩んだ25年間〜(2008)」より)
icon-check Key of Db (変ニ長調)
icon-check BPM:70

▼原曲のサウンドトラック

▼チェコ・フィルハーモニーによる「もののけ姫」の交響組曲

『アシタカとサン』のコード進行

● イントロ
| Db | Db6(9) | Db6(9) | Db6(9) |

● A
| Db6 | Dbmaj7 | Ebm/Db | Db |
| Bbm7 | Gb Db/F | Eb9 Ebm9 | Ebm7 Ab7 |
| Db6 | Dbmaj7 | Ebm/Db | Db |
| Bbm7 | Gb Db/F | Eb9 Ebm7/Ab | Db9 |

● B
| Gb | Ab | Gb | Fm7 |
| Gb | Ab | Bbm7 | Cbmaj7 | Ab Gbmaj7/Ab Ebm7/Ab Ab9 |
● C(サビ)
| Db | F7 Gb | Ebm7 Gbm7 | Ab |
| Db | F7 Bbm | Fm/Ab Gb | Gb Db/F |
| Ebm7 Gbmaj7/Ab | Ab7 Adim | Gb/Bb | Db |
● D
| Gb Ab | F/A Bbm7 | Cbmaj7 | Fsus4 F |
| Gb Ab | F/A Bbm9 | Cbmaj7 | Fsus4 F |
| Db9 | Db9 |

● エンディング
| Fsus/Gb | F7sus4 | Gbmaj7(9) | Ab6 |
| Db9 | Db9 | Db9 |

小学生のとき、この曲をピアノで弾こうと譜面を開いたらフラットが5つも出てきてすぐに挫折したのは良い思い出。笑

確かに譜読みは大変なのですが、実は逆に弾きやすかったりします。

簡単な楽曲の解説

「もののけ姫」のクライマックスで流れるジブリの中でも屈指の名曲(だと思っています笑)。

サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。ともに生きよう──。

「もののけ姫」のテーマでもある、まさにアシタカとサンの「生きる」を表した楽曲でもあります。

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Keigo

それにしてもアシタカ、イケメンである。笑

ポップスの構成

イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)、Dメロ、エンディングという日本のポップスでは馴染みが深い楽曲構成となっています。

動画の尺に合わせて作っている映画音楽のため、「構成ありき」というわけでもないと思いますが、今では定番の構成です。

サビのコード進行が美しい

サビ(1:06~)のコード進行がとても心地良いです↓。

| Db | F7 Gb | Ebm7 Gbm7 | Ab |
| Db | F7 Bbm | Fm/Ab Gb | Gb Db/F |
| Ebm7 Gbmaj7/Ab | Ab7 Adim | Gb/Bb | Db |

Key of C(ハ長調)でも表してみます↓。Key of Dbはフラットが5つもあるので、こちらで考えたほう分かりやすいと思います。

| C | E7 F | Dm7 Fm7 | G |
| C | E7 Am | Em/G F | F C/E |
| Dm7 Fmaj7/G | G7 G#dim | F/A | C |

後半の「Fmaj7/G」は「Gsus4」のほうがさらに分かりやすいかと思います。

さらにこれをディグリーネームで表してみます。

| I | III7 IV | IIm7 IVm7 | V |
| I | III7 VI7 | IV/3 IV | IV I/3 |
| IIm7 Vsus4 | V7 #Vdim | IV/5 | I |

まず2小節目の「III7」で強烈な印象を与えています。これはノンダイアトニックコードです。通常はVIに対するドミナントコードですが、次のIVに対する偽終止として表れています。

偽終止は浮遊感を呼び起こす弱い終止で、聞く人に意外な印象を与えます。

また3小節目の「IVm7」もマイナーキーのコードを使っています。いわゆる同主調からの借用和音です。哀愁漂うイメージでしょうか。

サビのメロディーではA音(ラ)とB音(シ)の2音のみがノンダイアトニックで、こちらも浮遊感があります。

続いて6小節目の「III7」以降の進行。コードのルート(ベース)の動きに注目してみましょう。

(Key of Dbで)F7の後に、

| Bb | Ab Gb | Gb F | Eb ~ |
※コードではなくベース単音です。

と、綺麗に順次進行しています。ベースが滑らかに進行することで美しいメロディにより集中できるようになっています。ちなみに、今度のF7はBbmに対するドミナントコードになっています。

さらに滑らかにコードを繋ぐという意味において「Fm/Ab」や「Db/F」などの第一転回型を上手く用いていることが分かります。

後半9小節目以降は、II-V進行のVをsus4に、さらにディミニッシュコードでスパイスを加え、IVからIへの変終止でサブドミナントからトニックへ至っています。
ちなみに、IVからIへの進行は「アーメン終止(賛美歌の最後の「アーメン」がこの和音で歌われることが多いことため)」とも呼ばれ、VからIへの全終止に比べると柔らかい印象を与えます。ショパンやドビュッシーがよく使っていました。

これでけ見ても、サビのコード進行がいかに綺麗に、滑らかに繋がっているかが分かります。素晴らしすぎます!

オーケストラとピアノ

主にピアノをフィーチャーした楽曲で、優しいイントロから力強いサビに掛けて盛り上がっていく展開が特徴的です。しかしもちろん、ピアノを支えるオーケストラの存在も欠かせません。

オーケストラは大きく4つの楽器に分類されます。

『アシタカとサン』の場合、概ね以下のような楽器編成です。

・木管楽器(ピッコロ、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット)
・金管楽器(ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ)
・打楽器(ティンパニ、シンバル、グロッケンシュピール)
・弦楽器(バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)

先程、「ピアノをフィーチャーした楽曲」と言いましたが実はピアノはオーケストラの主要な楽器ではなく、あくまでゲスト的な立ち位置(編入楽器)です。また、一般的に鍵盤楽器に分類されます(内部構造上、打楽器と言えなくもない)。ちなみに、ハープも編入楽器です。

もちろん、ピアノは音域が広く、和音楽器でもあるので単体としては表現の幅が広いです。事実、近現代の楽曲ではピアノを含んだオーケストラも多くあります。しかし、他の管弦打楽器に比べ、強弱や奏法で音色の変化に乏しいという基本的な性質があるので、管弦打楽器が脇役に徹する、音量を抑えるなどの工夫が必要になります。

『アシタカとサン』で、各セクションごとの楽器群の役割は概ね以下のとおりです。

● イントロ(0:00~0:13)
主旋律(メロディ):ピアノ
和音(裏方的):クラリネット、弦(原曲ではパッド)

● Aメロ(0:14~1:05)
主旋律:ピアノ
和音:弦

● Bメロ(1:06~1:31)
主旋律:木管 → ピアノ
和音:弦

● サビ(1:06~2:08)
主旋律:ピアノ + チェロ
対旋律:木管
和音:金管、弦

● Dメロ(2:09~2:34)
主旋律:木管 → 弦
和音:木管 → 金管、弦

● エンディング(2:35~3:12)
主旋律:ピアノ、オーボエ
和音:金管、木管

オーケストラにおいて弦楽器は基本的にずっと鳴っていても問題ありません。強弱の幅(ダイナミックレンジ)が広いので聴き疲れしにくいからです。この楽曲ではDメロ以外は何かしらの弦楽器が演奏されています。

木管と金管は鳴らしっぱなしというより、時に和音を構成したり主旋律や対旋律を演奏するなど、ところどころ効果的に使われます。

Dメロ(2:10~2:34)の前半は木管、後半は金管が目立っています。この動画では僕はピアノなのでDメロ(2:10~2:34)とエンディングの(2:44~2:53)の間はお休みです。ぼーっとしています。笑

オーケストラのスコア

武道館のライブ演奏も含め、これほどまでに感動した曲も多くはありません。

『アシタカとサン』以外にも『アシタカせっ記』や『旅立ち~西へ』、『東から来た少年』などオーケストラが際立つ名曲です。

個人的には耳コピだとどうしても限界があるので「もののけ姫」の公式オーケストラスコアが出版されたら嬉しい。出ないと思いますが。笑

ちなみに今までに出版された公式のオーケストラスコアは2つあります。

▼「久石譲 メロディフォニー」

▼「オーケストラストーリーズ となりのトトロ」

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Keigo

見ているだけで一日満喫できるスコアは良い!笑

 

▼「もののけ姫 サウンドトラック」

▼久石譲 in 武道館 2008