【DTM・PCオーディオ入門】スピーカーとオーディオインターフェースで世界が変わる!(セッティング編)
この記事は、前回の記事の続きのセッティング編です。
前の記事【DTM・PCオーディオ入門】スピーカーとオーディオインターフェースで世界が変わる!(基本編)
スピーカーの最適な設置方法は、部屋の環境(間取りや家具など)によって変わるため最終的には自分で正解を探す必要があります。
良い音を鳴らすには、スピーカーの置き方が重要です。
間違った置き方をしていると、曲中の楽器の距離感やボーカルの定位(パン)が崩れてしまい、せっかくの音が悪くなってしまいます。
今回はスピーカーとオーディオインターフェースのセッティングの基本を紹介します!
意外と知らない「音」の性質
スピーカー設置の前に、まず音の性質の基本を理解しましょう。
音(周波数)は高さによって音の進み方や広がり方が異なります。これを指向性といいます。
オーケストラやバンドなどで高音を担当するバイオリンやギターは、左右に位置し、左右から音が聴こえます。低音を担当するコントラバスやベースは、左右で演奏しているにもかかわらず中央全体から聴こえてきます。
これは、高音ほど直進性が増し、低音ほど横や後方など周囲に拡散するという性質があるからです。低音はエネルギーが強いので、アンサンブルの土台(基礎)になっていますよね。
例によって安物イヤフォンを使っていた当時中学生の僕(前回の記事参照)は「ベースなんて聴こえんし、要らんやろ」とか抜かしていました。当時の自分をぶん殴ってやりたい。
主な楽器の音域は図を見ると分かりやすいです。

この図では、左側ほど低音担当の楽器、右側ほど高音担当の楽器です!
スピーカー設置の際は「低音ほどスピーカー周辺の壁や床に影響を受ける」ということを覚えておくと良いです。
スピーカー設置のポイントは「距離」「向き」「高さ」
基本の考え方を覚えておきましょう。
スピーカー後方の壁との適切な距離は?
音に一番影響を与えるのは(悪い意味で)、スピーカー後方の壁の反射音です。
例えば、YAMAHAのスピーカーは壁から1.5m離すこと推奨しています。
スピーカー後方の壁で増幅された低音が実際よりも大きく聞こえてしまうためです。
逆に、Genelec 8000シリーズは音の反射による影響を最小限に抑えるためできるだけ壁の近くに設置することを推奨しています。増幅された低音をスピーカー側の調整機能で補正します。
スピーカーを設置可能な範囲で大きく前後に動かして、適当な場所に置いてみましょう。実際に音を鳴らしながら、少しずつ動かして追い込んでいきます。その際、左右のスピーカーを後方の壁から同距離に設置しましょう。
最低でも30cm以上空けたいところですが、正直、日本の住宅事情でそれをやるととんでもなく生活スペースが狭くなります。なので壁との距離に関しては、ある程度妥協が必要です。

専用のオーディオルームが羨ましい!
スピーカーと後方の壁とで距離が取れない場合は、後方の壁に吸音材を貼ると音の反響をある程度小さくすることができます。
▼ 定番のSONEX。音場調整に欠かせない吸音材を扱うアメリカのメーカー。
僕は以前、音楽スタジオを作っている会社の廃材(吸音材)をもらったので、それを壁に貼っています。
貼る前と比べ、音が吸音されてスッキリした印象になります。
▼スピーカー後方の壁にグラスウールを貼っています。
壁にマスキングテープを貼り、その上に両面テープで吸音材を貼ると壁が傷つきにくく、剥がしやすいです。
▼マスキングテープ
▼両面テープ
「吸音材を買う余裕はない!」って人は部屋を散らかしましょう。いや本当に。物がたくさんあると、それだけ音が吸音されますので。
例えば、YouTubeで家を引っ越す動画がありますが、新居の場面になると途端に声の音が響いて音声が聞き取りづらくなりませんか?
https://youtu.be/Nh9VKYk_TlI
部屋に家具や服など、物がないので音が床や壁、天井を反射し続けてしまうんですね。
スピーカーどうしの適切な距離と向きは?
最終的にはスピーカーと自分を結んで正三角形になるように設置していきます。
まずはスピーカーを約60度内側になるように向きを調節しましょう。
もちろん、この角度は目安なので最後は自分で微調整する必要があります。
スピーカーどうし間隔が広過ぎると、左右に広がる楽器群のステレオ感がなくなりますし、 逆に狭過ぎると、楽器の音が窮屈になってごちゃごちゃしてしまいます。
初めてで分からないときは、一度「広過ぎるかな?」と思う場所に置いて、曲を鳴らしながら徐々に距離を狭めていくと「お! なんだか良い感じ!」と、最適な場所を見つけやすいです。
個人的には、スピーカー部分の延長線上に自分の両肩が来るような角度をちょうど良いですね。
Don’t think. Feel!
(考えるな、感じろ!)
とにかくこの感覚が大事です。60度は目安の数字で、この段階では厳密な角度や長さを考えなくても大丈夫です。
その他に、自分が使うデスクの大きさやディスプレイの幅などから自ずとスピーカーどうしの距離が決まってくる場合もあると思います。

スピーカーの向きが合うとビビッと来ます、ビビッと!
スピーカーの高さは?
現在主流の2WAY方式のモニタースピーカーの場合、ユニットが上下で別れています。
- 高音を担当する「ツイーター」が上側
- 中低音を担当する「ウーハー」が下側
▼上側の黒いユニットがツイーター、下側の白いユニットがウーハーです。
▼YAMAHA パワードモニタースピーカー HS5
人気記事YAMAHA「HS5」3万円で買える定番・最高のモニタースピーカー
その際、スピーカースタンドを用いて、ツイーターの高さを自分が椅子に座っときの耳の高さに合わせます。これは高音の指向性が鋭いという性質のためです。
ちなみに、スピーカースタンドは必須です。スピーカースタンドの効果は、聴き比べれば誰の耳にも分かるほど明確です。絶対音感は関係ありません。
スピーカースタンドを用いると、音の不明瞭さが払拭されスッキリとした音になります。低音が引き締まり、音源の方向と距離の音像がよりクリアになります。
スピーカースタンドがないと、出力された低音が机や床に沿って進み、後方へ回り込まなくなります。ある程度、後方に低音が抜けないと、音の抜け(明瞭さ)が悪くなってしまうのです。
▼ISO Acousticsのスピーカースタンド
HS5にぴったりのサイズで気に入っています。劣化もほとんどしないので長く使えます。
始めは安い製品でも構わないので、必ずスピーカースタンドを用意するようにしましょう。

「コンクリートブロック」が安上がりなスピーカースタンドとして昔から有名!
一般家庭では十分なスペースを取れないこともありますが、可能な範囲で良いポイントを見つけるようにしましょう。
オーディオインターフェースを接続しよう
前回、PCとスピーカーを接続するには「オーディオインターフェース(以下、O/IF)が必要だ」ということを紹介しました。
つまり、最終的には以下のようになります。
PC──オーディオインターフェース──スピーカー
PCとオーディオ/IFは基本的にUSBケーブルで接続するだけなのでとても簡単です。よってここでは、オーディオ/IFとスピーカーの接続方法を紹介します。
今回は、「UA55(オーディオ/IF)とHS5(スピーカー)」を「TRS-TRSフォン」ケーブルで接続します。もちろん他のオーディオ/IF、スピーカー、前回紹介した「XLRオス-TRSフォン」ケーブルでも基本的にやり方は同じです。
まず、電源を落としてオーディオ/IFの「OUTPUT(背面)」に「TRSフォン」を差し込みます。L側とR側があるので2本ですね。
その後、差し込んだケーブルをスピーカーの「INPUT」に「XLRオス(TRSでも可)」を差し込みます。L側は左側のスピーカー、R側は右側のスピーカーにしっかり挿しましょう。
※スピーカーの電源はまだオフの状態です。
すべて挿し終えたらPCとスピーカーの電源を入れ、適当な位置に置き直しましょう。
※念のため、PCとオーディオ/IF、スピーカーの音量フェーダーは0にしましょう。
部屋の模様替え中で机の上がまだすっからかんですが。笑
さて、いよいよ最終段階に入っていきます。

各ケーブルの接続はしっかり確認!
音量バランスを取ろう
ここからスピーカーの距離や向きを揃えていきます。
その際、それぞれの音量フェーダーをひとまず以下のように設定しましょう。もちろんまだ音は出ません。
- PC:100%
- スピーカー(アンプ):最大から50%~80%程度が目安(アンプ性能が最も出力されるところまで)
- オーディオ/IF:0% → 徐々に上げていく(常にこちらで音量を調整する)
ここからオーディオ/IF側の音量フェーダーのみを使って音量を上げてます(ご近所迷惑にならない程度まで)。その後、先ほど説明したようにスピーカーの設置に移ります。
微調整をして音を追い込もう
実際に自分の好きな曲をかけながら、最終的に音を追い込んでいきます。
その際、以下のような曲がセッティングに向いています。
- 歌もの
- 音域を広くカバーしている
- 色々な楽器の音が鳴っている
特に低音域がしっかりしていることが重要です。低音が変化すると中音や高音も変わるからです。アコギのバラード曲とかだと位置決めが少し難しいです。
スピーカーの位置決めでは低音とボーカルをよく聴きましょう! また、曲の音量レベルを決めたらセッティングが終わるまで音量を変えずにループさせましょう。
スピーカーの高さは固定していると思うので前後と左右に注力して、一番最後に向きを揃えます。
- 低音が強いと思ったら前方へ
- 低音に弱いと思ったら後方へ
- ボーカルが強いと思ったら広げる
- ボーカルが弱いと思ったら狭める
- 最後にスピーカーの角度を並行から徐々に自分の方へ狭める
最後はそれぞれの好みでスピーカー側とO/IF側の音量のバランスを微調整しましょう!
PC側は常に100%にしておきましょう。小さい音を増幅するとノイズが目立つからです。

目の前で演奏しているように聴こえれば調整終了!
追記:2019年3月現在、スピーカー周りはこんな感じです。
まとめ
●良い音はスピーカーの位置決めが重要
●高音ほど直進し、低音ほど拡散する
●まずは「正三角形」を目指す
●スピーカー後方の壁との距離は大きく空ける
●ツイーターの高さを耳に合わせる
●オーディオ/IF側で音量をあわせる
●低音とボーカルをよく聴く
●「Don’t think. Feel!」で調節する
以上が、基本的なスピーカーのセッティング方法です。
もちろん、部屋や機材、聴く人の条件によってセッティングはそれぞれですので、最終的には自分で好みの音を見つけてみてください。
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