MIDIで打ち込みしたピアノソロの音作りとミキシング、マスタリングを考える

2019年4月3日

Keigo

どうも、Keigoです!

DTMで使うピアノ音源「Ivory II Studio Grands」を使い始めて4ヶ月ほど経ちました。

やはり定番、人気のピアノ音源だけあって、高品質でとても使いやすいです。

しかし、MIDI打ち込みピアノソロの音作りに関してネットであまり見かけなかったので書いてみました。

今回は、以前のピアノのMIDI打ち込み方法をもう少し深掘りし、音作りとミキシング、マスタリングを考えていきます。講座というよりは、僕個人の備忘録です。

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▼今回の目標曲は以前にYouTubeに投稿した、久石譲「Spring」のピアノソロ。

関連記事:【平成最後の春】久石譲「Spring」を弾いてみた

打ち込んだMIDIを良い感じのピアノ演奏に仕上げるにはどうすれば良いのか?

1. リファレンス曲(お手本曲)を分析する
2. アナライザーを正しく使って音作り
3. ラウドネスメーターを使って音圧を調整する

基本的にポイントはこの3つです。

以下、順番に解説していきます!

まずはMIDIをリアルタイムで打ち込む

一にも二にも、MIDIの打ち込みをしないと始まりません。笑

ピアノソロの場合はできるだけリアルタイムレコーディグをしたほうが上手くいきます。

1.ノートオンとオフのタイミング
2.サステインペダル
3.ベロシティ

気をつけるポイントは基本的にこの3つです。

細かいことに関しては、前回の記事を参考にしてもらえばと思います。

関連記事MIDIの打ち込みをリアルなピアノ演奏にする方法と具体的な手順

最強のピアノ音源「Ivory II」でピアノの音作り

まずは、ソフト音源側で基本的なピアノの音作りをしていきます。

音源は「Ivory II Studio Grands」です。

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が、その前に参考にするリファレンス曲(市販の曲)を用意しましょう。全く同じ音にする必要はありませんが、後の音作りで参考にできます。

今回はそのまま久石譲さんの曲をリファレンス曲にします。

今回の参考曲「Spring」では、ピアノはSteinwayでいきます。久石譲さんがいつもSteinwayで弾いているので。笑

オレンジがリファレンス曲。緑がMIDIトラックです。

パラメータは以下のような感じです。

「Stereo Width」と「Sympathetic Resonance」以外はプリセットのままにしました。

デフォルトでは「Stereo Width(左右への広がり)」が100%になっていますが、明らかにパンが不自然なので数値を下げてパンを狭くします。

「Session」タブでは「Memory Use」を「Large」に、「A4 Pitch」を「442.0 Hz」にしました。

Ivory IIの細かいパラメータに関しては、こちらの記事を参考にしてもらえばと思います。

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Ivory II側での音作りは以上です。

このままイコライザーやリバーブなどを作り込んでも良いのですが、Ivory IIはソフトが重いので再生していると途中でプツプツなっちゃいます。

なので一旦、wavに書き出しします。

Cubaseの場合、MIDIトラック上で右クリックすると「Render in Place」という項目からwavに書き出せます。

今回は「Dry(素の音)」で書き出します。

はい、書き出しました。30秒くらいでできました。当たり前ですが、Dryの音は波形が小さいですね。

このラウドネスに関しては後に説明しますが、注目する値は以下の3つ。

・True Peak…ピークの最高値
・Max. Momentry Loudness…ラウドネスの最高値
・Intergrated Loudness…ラウドネスの平均値
※Cubaseでは、左上のオーディオ(Audio)→ 統計(Statistics)でオーディオファイルの各種数値が出せます。

現段階のDryの音はこんな感じです。今はまだ音圧が低いので少しボリュームを大きくして聴いてみてください。

このままイコライザーやリバーブなどを掛けても良いのですが、精神衛生上の理由で別にプロジェクトを作ります。笑

ミキシング用の新規プロジェクトを立ち上げ、さらに音を作っていきます。

アナライザ「SPAN」を正しくセッティング

ここからは先ほど用意したリファレンス曲を参考にしながら、音を作り込んでいきます。というのも、リファレンス曲はプロのエンジニアが音を処理しているので素人からすれば、ほぼ100%正しい処理をしているわけです。参考にしない手はない。笑

リファレンス曲の「音の質感(イコライジング)」と「空間(リバーブ感)」「音量ダイナミクス(コンプ感)」、基本的に僕はこの3つに耳を傾けています。

原曲「Spring」は生ピアノで収録されているので全く同じようにはいきませんが、参考になりそうなところだけを真似ていきます。

その前に。

僕は音作りを始める前には必ず、周波数を分析するプラグイン「スペクトラムアナライザ」をマスターチャンネルに挿します。耳だけでなく、多少は目も使って判断します。

使うアナライザは、Voxengo「SPAN」。高機能で波形が見やすくて使いやすいのに無料というチート級のアナライザーです。

スペクトラムアナライザに関するの細かい話は、えき さんのブログ記事が大変参考になります。世界で最も詳しく書かれていると思います。

えき さんの参考記事:スペクトラムアナライザの調整が大切な理由

デフォルトの状態でも「SPAN」は使えますが、例によって調整が大切。

というわけで、ピンクノイズだけを鳴らしてSPANの初期設定をします。えきさんのブログ記事の設定を丸パクリですけど。笑

ピンクノイズは全ての帯域が水平になるノイズです。

(中略)

光学の分野ではホワイトノイズが基準にされることがありますが、音響の分野、とくにミックスの分野ではピンクノイズを基準にした方が便利です。

引用:スペクトラムアナライザの調整が大切な理由

つまり、ピンクノイズは全周波数帯域でフラットになるので、フラットに表示されるように先にアナライザを調整する必要がある、ということです。

SPANでは右上の歯車の記号をクリックすると詳細設定画面が出てきます。ピンクノイズがフラットに表示されるように各種数値を調整していきます。

右下の「Slope」を2.2や2.3前後でピンクノイズがほぼ水平になりました。

この設定を基準に、実際の音作りで見やすいように設定します。といっても、左下のハイとローの表示を狭めるだけですが。笑

右上の「Avg Time」は数字を小さくすると反応が早くなります。

次に左上の「Routing」の矢印をクリックして「Mid-Side Stereo」にします。この表示方法では、Mid(中央)で聴こえる音とSide(左右)から聴こえる音を確認できます。

この状態でリファレンス曲を流してみると以下のようになりました。この場合は、500~600Hz周辺の中音域が山になっているのが確認できます。ミキシングの際は、最大ピークが6dBになるようにボリュームは下げます。

16kHz以降がぶつ切りになっているのは間違えてmp3を取り込んだからです。笑

エンコードしたファイルは多少なりとも波形が変わるので、本来は原曲オリジナルファイルを取り込むと良いと思います。

現段階でのDryの音をアナライザで確認してみます。強いて言えば低音域が不足気味ですかね。

という感じでアナライザを使うと、耳で捉えられなかった部分が目で気づけます。もちろん、波形にこだわりすぎても良くないので、あくまで参考にするツールとして使います。

音作りの手順どうするべきか?

音作りやミキシング、マスタリングは手順や方法が山のようにあります。

今回はざっくり、1. イコライザー、2. リバーブ&ディレイ、3. コンプレッサー&リミッタという順で紹介します。音の変化が分かりやすいからです。

ただ、僕の実際の作業では逆の手順が多いです。真っ先にリミッタを挿して音圧を上げます。 先に完成形の音圧を作ってからリバーブやディレイ、イコライザーやコンプを掛けていきます。僕の場合は、そちらの方が早く出来上がることが分かったので。

あれやこれやと手順を模索している途中なので、半年後にはまた変わってると思いますが。笑

イコライザーでピアノの音をクリアに!

イコライザーは、特定の周波数を強調(ブースト)または減衰(カット)するエフェクトです。

正しい使い方があってないようなものなので、正直、突き詰めるとかなり難しいです。僕は完全に見よう見まねでやってます。笑

先程のIvory IIのDryの音が少し奥まっているので、ピアノを前に出す質感を目指します。

Waves「Scheps 73」でブースト

今回は、Wavesの「Scheps 73」を使います。僕が大好きなプラグインの一つです。笑

主にブーストして使うと良い感じに艶がでてくれます。※ここで「やりすぎ注意報」が発令されます。

「HIGH」は、ブーストすると部屋の空気感が出ます。

「MID」は、4.8kHzに設定してブーストするとピアノが前面に出てきます。

「LOW」は、リファレンス曲を参考にしながらお好みで。笑

「Scheps 73」を上の画像のように設定するとこんな感じ。

先程のDryに比べて、ピアノが少し前面に出て、華やかな音になりました。

ちなみに、「やりすぎ注意報」を無視して全ブーストするとこんな感じ。

ね? やりすぎでしょう?笑

イコライザーはつまみを回すとすぐに音が変わるので、始めのうちは夢中になってやりすぎちゃうことが多いと思います。え、僕だけ?笑

Keigo

イコライザーは、ほどほどに!笑

不必要な周波数帯域をカットするという方法もありますが、個人的には「Scheps 73」のブーストの方が楽だし、調整つまみが少ないので直感的で好きです。

以下のプラグインみたいに10個も20個も弄るところがあると、困っちゃうんだよね。笑

▼Waves Q10

▼Cubase GEQ-30

Keigo

こんなの絶対使いこなせない。笑

iZotope「Neutron 2」でちょっぴりカット

先程ブーストした音源で、気になった音域を少しだけカットします。左手のアルペジオ部分と弦の鳴りが私、気になります。

正直、ここでのイコライザーは何でもいいのですが「Neutron 2」が操作しやすいので使っています。

特に「Alt + 左クリック」で特定の周波数だけを聴けるというのが楽で良いですね。一応、アナライザーの白い波形も表示されるのですが、あまり囚われてはいけません。笑 

ここでは350Hzと1000Hz周辺の2点を2~4dBくらいカットしています。先程より音の変化は微妙ですが……。耳で聴いた感じなので数字自体に特に意味はありません。

イコライザー適応前と後を聴いてみましょう。00:11までがDryの音、後半がイコライザー適応後です。

イコライザーを適応することで音が前面にでて華やかになりました。

というわけで、Dryの音作りはここで終了です。

リバーブとディレイで空間作り!

リバーブとディレイは主に空間の広がりや奥行きを表現するのに使います。

イコライザーと同様、正解はあってないようなものです。故に難しいです。笑

以前の記事でも紹介しましたが、今回も書いておきます。

 

使うプラグインは前回と同様です。

リバーブは「IR1」と「H-Reverb」、ディレイは「H-Delay」です。なぜって、これしかそれっぽいのを持っていないんだもの。笑

Keigo

そもそもプラグインに詳しくない。笑

Waves「IR1」で部屋の大きさを決める

色々な方法があると思いますが僕の場合は、まず最初にコンボリューションリバーブでピアノを鳴らす部屋を作ります。

コンボリューションリバーブは、実際に存在する空間(有名ホールや教会など)の残響音をサンプリングしているので、リアルな残響を生み出せます。短所はCPUの負荷が高くなる(プラグインが重い)ことです。

Waves「IR1」は、そのコンボリューションリバーブとして有名なプラグインの一つ。

今回はプリセットを基準に「Reverb Time」とEarly Reflectionの「Predelay」だけを調整します。

コンボリューションリバーブ「IR1」の音だけを聴いてみましょう。

良い感じに響いてますね。ただ、200Hz以下の低音が私、気になります。ということで後でイコライザーでカットします。

Dryの音と合わせて聴くとこんな感じ。 00:11までがDry、それ以降がリバーブありです。

ね? 空間が生まれたでしょう?

あとは、プリセットを変えてみたり、フェーダーバランスの調整、イコライザーなどで追い込んでいきます。

Waves「H-Reverb」でリバーブをより豊かに

「IR1」だけでもリバーブとしては成立していますが、僕はもう一つリバーブを使います。理由はリバーブをより豊かにするためです。

2つ目のリバーブは「H-Reverb」。こちらも「REVERB TIME」を調整します。

「H-Delay」の音だけを聴いてみましょう。

先程の「IR1」と同様に、後にイコライザーで低音をカットします。

ここで「IR」と「H-Reverb」の組み合わせのみを聴いてみましょう。微妙な変化ですが、00:12以降の変化が分かりやすいと思います。例によって後で低音はカットします。

次に、Dry + IR1 + H-Reberbの組み合わせです。全半はDry、00:12以降がリバーブありです。 

良い感じのリバーブになってきました。

ちなみに、ここまでのミキサー画面はこんな感じです。

H-ReverbはセンドでIR1に送っています。

Waves「H-Delay」でさらに空間作りを追い込む

ディレイは音を遅らせるプラグインです。今回は「H-Delay」を使いますが、多分なくてもいい。笑

1/8音符や1/16音符など、間隔もしくは時間を指定して調整します。これもセンドで「IR1」に適宜調整しながら送ります。

「H-Delay」の音だけを聴いてみましょう。

山びこのように少しだけ遅れて聴こえますね。これが良い感じに空間を作ってくれます。

が、フェーダーバランスに注意しないと空間が破綻するので、やりすぎ注意報が発令です。

こちらは、Dry + H-Delayでフェーダーバランスが悪いとこうなります。

ね? 破綻するでしょう? まあかなり大げさにやりましたが。笑

ここまで作った「IR1」と「H-Reverb」「H-Delay」を良い感じにバランスさせます。すべてのトラックが混ざったので気になっていた低音域をカットします。

イコライザー、リバーブ、ディレイを組み合わせると?

Dryの音とイコライザー、リバーブ、ディレイの組み合わせを比較して聴いてみましょう。00:12までがイコライザーなしのDryの音、それ以降がここまで紹介したプラグインとの組み合わせです。

ね? 雰囲気がかなり変わるでしょう?

ルーティングは以下のように設定しています。色を付けた枠で囲ってある部分がこの記事で説明したところです。

コンプレッサーやサチュレーターで微調整

このあたりからは完全に好みでやってます。というか、正直よく分からずにやってます。笑

FX Busや最後のBusトラックにコンプレッサーやサチュレーター、イコライザーで調整します。リミッターは念の為のクリップ防止です。

最終的には以下のような感じです。

Waves「Kramer Tape」でアナログライクに

サチュレータは「Kramer Tape」を使います。倍音が少し付加されてマイルドになります。

プリセットは「Mastering Big and Open」。「FEEDBACK」をほんの少しだけ加えます。「DELAY TIME」は350~500msの間です。この組み合わせがとても良い感じに響いてくれます。

Waves「SSLComp」で一体感を生み出す

バストラックには「SSLComp」を使います。

設定は激甘です。針が動くかどうか、というリダクションしかしてません。圧縮は1dBくらい?笑

ほんの少しだけ、トラックのまとまり感というか、一体感が出ます。

え、気のせいだって? うん、多分そうかもしれない。笑

他には、再度イコライザーで少し周波数を整えます。

00:11までがDry + リバーブ、それ以降が調整済みのトラックです。

後半は低音を少しカットしたので、もわつきが軽減されたと思います。

あとは書き出しすれば、ミキシングは終了です。

最終的なトラックは以下のようになりました。

ピークは最大で-9.8dB、ラウドネスは全体で-26LUFSです。

今後のマスタリングのために、ミキシングではピークは最大でも-6dBまでにしておくと良いみたい。

音圧を調整をして完成

本来のマスタリングは、複数の曲の音圧や質感など、アルバムとしての世界観を統一する役割がありますが、今回はYouTube用にマスタリングします。といっても、リミッタで音圧を上げるくらいだけど。笑

例によって精神衛生的の理由で新規プロジェクトを立ち上げて、先ほど書き出したミキシングファイルを読み込みます。

Waves「Center」で楽々MS処理

MS処理は、元の音をMidとSideに分けて、それぞれ個別に処理方法です。端的に言うと「音の広がりを調整する」といった感じです。

が、僕にはまだそこまで高度のことはできません。笑

ただ、出来上がった2Mixとリファレンス曲と比べても、やはりSideの音が出ていません。もう少しSideにパンチが欲しいところ。

そんなときに便利なプラグインがWaves「Center」。

何も考えずにSIDESのスライダーを上げるだけというお手軽仕様のMS処理プラグインなのだ。笑

Centerを適応前と後を聴いてみましょう。 00:12までが処理前、それ以降が処理後です。音の広がりに注目です。

Sideの音量が持ち上がったので全体のボリュームも上がっていますが、広がりがでています。

iZotope「Ozone 8」で最終調整

最後はマキシマイザで音圧を上げていきます。

使うプラグインはiZotope「Ozone 8」。自動でマスタリングをしてくれる優れものですが、いつも手動でやります。笑

先ほどの2Mixでは、ピークが最大で-9.8dB、ラウドネスは全体で-26LUFSでした。

2019年現在のYouTubeの仕様では-13LUFSが基準なので、2Mixのラウドネスを-13に近づけていきます。

ただ、マキシマイザやリミッタで音圧を上げると音が劣化していきます。ダイナミクスが失われていくので妥協できるところで止めます。

最終的には以下のようにしました。

▼イコライザ

▼ダイナミック EQ

▼マキシマイザ

Ozone 8の適応前と後を聴いてみましょう。00:12~が適応前でそれ以降が適応後です。

最終的には以下のようなラウドネスになりました。

ピークが最大で-0.11dB、ラウドネスは全体で-14.4LUFS、最大で-8.3です。

僕が持っている市販のCDのピアノソロだと、ラウドネスが-15前後、最大で-10前後が多かったので、今回は少し音圧が大きいくらいですが、今回はYouTube仕様なのでこれで良しとします。

あとは適当に動画編集して完成です。

おわりに

いかがだったでしょうか?

ネットでMIDI打ち込みピアノソロの音作りに関してあまり見かけなかったので書いてみました。

自分でもまだ満足していない部分が多くあるので、少しずつ勉強していこうと思います。

参考になれば幸いです。

それでは!